2020/10/08(木)
秋はきのこ虫
清澄山系にて。山を歩いても虫の姿を見ることはめっきり減り、すっかりキノコの季節となってしまった。虫の少なくなった今ごろでも、キノコを丹念に見ていくと、○○キノコムシとかキノコ××ムシなど、キノコ食いの昆虫を見つけることができる。
この日、まずは、白っぽい菌類で覆われた倒木の下面に、寄り添っている2匹のモンキナガクチキムシを見つけた(写真1)。体長12ミリほどのキノコムシダマシ科に属する甲虫である。以前はナガクチキムシ科とされていたので、和名にその名残がある。ぱっと見、真っ黒で地味だが、良く見ると触角は末端節が白く、小楯板が金色の毛で覆われている(上翅の基部中央に見えている部分、写真2、3)。なかなかおしゃれな虫だと思う。

- 写真1

- 写真2 モンキナガクチキムシ 体長13㎜ 標本番号 CBM-ZI 224434

- 写真3 金色の毛に覆われた小楯板
次に見つけたのはベニモンキノコゴミムシダマシ(写真4)。体長は4〜5ミリ、ゴミムシダマシ科キノコゴミムシダマシ亜科に属する。コナラの立ち枯れに生えたウチワタケにたくさんいた(写真5)。この種は、ウチワタケやカワラタケなどがあれば街中の公園でも見ることができる。写真4の個体はメスだが、オスの頭には左右非対称のツノがある。程度の差はあるが、なぜか右のツノが長く先に毛が生えている(写真6)。

- 写真4

- 写真5

- 写真6 雄の頭部には左右非対称のツノがある
さらにもう一種は、ヒゲブトコキノコムシ(写真7)。体長約4ミリで、コキノコムシ科の種の中では大きい方だ。

- 写真7
和名に「キノコ」が付く甲虫はたくさんいる。科名だけでもここで紹介したキノコムシダマシ科とコキノコムシ科以外に、タマキノコムシ科、オオキノコムシ科、ツツキノコムシ科、ヒメキノコムシ科がある。もうこれだけで頭が混乱し、さらに種名となると覚えるのがたいへんだ。それだけ甲虫類は種の多様性が高い。
- モンキナガクチキムシ Penthe japana(キノコムシダマシ科)
- ベニモンキノコゴミムシダマシ Platydema subfascia(ゴミムシダマシ科)
- コナラ Quercus serrata(ブナ科)
- ウチワタケ Microporus affinis(タマチョレイタケ科)
- カワラタケ Trametes versicolor(タマチョレイタケ科)
- ヒゲブトコキノコムシ Mycetophagus antennatus(コキノコムシ科)
(斉藤明子)