2021/03/22(月)
セキショウ
君津市内にて。岩陰に掘られた小さなため池のほとりにセキショウがたくさん生えていた(写真1)。細長い葉が叢生する様子はスゲの仲間にも似ているが、これは端午の節句の菖蒲湯に使うショウブと同じショウブ科の植物である。かつてはサトイモ科に含められていたこともある。セキショウは県内各地の水辺に生えるが、房総丘陵では渓谷沿いで目にすることが多い。

- 写真1
セキショウの花は4月以降に咲くものという印象があったが、ここではもう咲き始めていた(写真2)。薄黄色の棒状のものがセキショウの花だ。正確には、円柱形の軸の周りに多数の小さな花が集まっている「肉穂花序(にくすいかじょ)」という花の集まりである。

- 写真2 セキショウの花
花序を拡大してみると菱形のタイルを敷き詰めたようになっている(写真3)。菱形の一つ一つが花で、花びら(花被片)が6個あるのだがぱっと見ではよくわからない。雄しべも6本ずつあるが、一度に全部は現れず、この花序では各花から2本ずつが顔を見せていた。

- 写真3 セキショウの花の拡大
- セキショウ Acorus gramineus(ショウブ科)
- ショウブ Acorus calamus(ショウブ科)
(尾崎煙雄)