2021/08/26(木)
タヌキの糞
上総国と安房国をわけている郡界尾根のほんの一部を歩いてみた(君津市と鴨川市境)。今はほとんど歩く人はいないようだが、峠には切通し(写真1)や古い石積みのある道(写真2)、石碑(写真3)を見ることができ、古くは人々が行き交っていたのだろう。

- 写真1 切通し

- 写真2 古い石積みのある道

- 写真3 石碑
尾根道には令和元年房総半島台風の影響だろうか倒木が多い(写真4)。ありがたいことに誰かがなんとか歩けるように木を切ってくれている。晩夏の猛暑の中、もう虫はほとんど見当たらない。

- 写真4 倒木の多い尾根道
房総丘陵独特の細かなアップダウンが続く尾根歩きは、短い距離でも結構厳しい。途中で熱中症の症状か、足がつれて歩けなくなった。尾根道の倒木に座って休んでいると足もとに虫の死体の塊を見つけた(写真5)。

- 写真5 ホンドタヌキの糞 ミヤマクワガタなどの甲虫が含まれていた
タヌキの糞だろうか、枯れ枝で少しつついてみた。まず目に入ったのがミヤマクワガタの死体だ。バラバラにはなっているが、明らかにミヤマクワガタの雌である。他にはキマワリなどのゴミムシダマシが多そうだ。甲虫の硬い外骨格は消化できず、こうして糞に混じって排出される。夏に豊富な甲虫はタヌキにとって重要な食べもののようだ。
- ホンドタヌキ Nyctereutes procyonoides viverrinus(イヌ科)
- ミヤマクワガタ Lucanus maculifemoratus(クワガタムシ科)
(斉藤明子)