2021/10/24(日)
シラウオタケ
君津市内の山にて。倒木の表面に白い毛のようなものが密生している(写真1)。「毛」の長さ1センチ半ほど。
- 写真1
「毛」はほぼ等間隔に規則的に並んでいる(写真2)。この倒木にはこれがたくさん生えていて、まるで海底から半身を出したチンアナゴの群れのようだ(チンアナゴはアナゴ科の海水魚で、近年、水族館の人気者になっている)。
- 写真2
これはキノコの一種で、シラウオタケという(写真3)。白い小さな魚の群れにたとえられたのはわかるような気がする。
- 写真3
シラウオタケが生えている場所は、必ず倒木の表面が緑色に覆われている(写真4)。これは倒木の表面に生育した緑藻類の色だ。そしてシラウオタケはこの緑藻類と共生するキノコなのだ。
- 写真4
シラウオタケの根元がうっすらと周囲に広がっている様子がわかる(写真5)。緑藻の間に菌糸を伸ばして養分の交換をしているのだろう。藻類と共生する菌類といえばウメノキゴケなどの地衣類が知られているが、このシラウオタケも地衣類と見なすこともできる。
- 写真5
- シラウオタケ Multiclavula mucida(カレエダタケ科)
- チンアナゴ Heteroconger hassi(アナゴ科)
- ウメノキゴケ Parmotrema tinctorum(ウメノキゴケ科)
(尾崎煙雄)