2022/01/07(金)
固結した泥岩に住むウチムラサキ
館山市内にて。この場所では、数千年前の波食台が観察できる。海に面した岩盤が波によって削られ、海底にできた平坦面を波食台と呼ぶ。当時の波食台を観察すると、固結した泥岩に空いた穴に二枚貝が入り込んでいる(写真1)。この二枚貝はウチムラサキと呼ばれ、殻の内側が紫色をしていることからこの名がついた。ウチムラサキは固結した泥岩中に空いた穴を利用して生活することもあれば、砂泥底~砂礫底に潜って生活することもある(教室博日記(No.1970)では、カキ殻混じりの砂泥底に潜って生活していたウチムラサキの化石を取り上げた)。幅広い環境に適応できる器用なウチムラサキには感心してしまう。

- 写真1 固結した泥岩中の穴に入り込むウチムラサキ
- ウチムラサキ Saxidomus purpurata(マルスダレガイ科)
(千葉友樹)