2022/07/28(木)
サンショウ
清澄山系にて。林道沿いにサンショウが生えていた。緑色の果実がついている(写真1)。

- 写真1
サンショウの果実はいわゆる「山椒の実」で香辛料になる。熟すのは秋で、赤くなった果皮が裂けて中から黒い種子が覗く。熟した果実の果皮を加工したものが粉山椒で、緑色の若い果実は実山椒と呼ばれる。
果実は2個の分果で、表面にボコボコと凹がある(写真2)。上についている突起は柱頭の名残。

- 写真2
分果の片方の成長が悪いものもあった(写真3)。

- 写真3
葉にも良い香りがあり、若い葉は料理に使われる。葉にはミカン科によく見られる油点がある(写真4、5)。料理にサンショウの葉を添える前に手で叩くのは、この油点を潰して香りを立たせるためだ。

- 写真4

- 写真5 鋸歯の付け根の透明な丸い点が油点(油腺ともいう)
ひとしきり観察したところで、若い果実の果皮をかじってみた。山椒らしいビリビリした辛みが口に広がる。このビリビリがどれくらい続くか気になり、しばらく水も飲まずにそのままにしてみた。少なくとも30分はビリビリしていた。果実が熟した際の果皮の赤と種子の黒のコントラストは、鳥にとって最も目立つ配色である。鳥に果実を食べてもらって種子を運ぶ鳥散布植物であることは間違いないだろう。実際に、「こんなところに」という場所でサンショウの実生を見ることも珍しくない。人間が食べてこれだけビリビリするのに鳥はどうなのだろうか、ととても気になった。
- サンショウ Zanthoxylum piperitum(ミカン科)
(西内李佳)