フィールドノート No.2239

 2024/02/16(金)

 桜色のサクラガイ化石

 館山市内にて。この場所では、数千年前の内湾にたまった泥層が観察できる。泥層中に桜色の貝化石を見つけた(写真1)。

  • 写真1 泥層中に見られる桜色の貝化石(スコップの刃の幅は約2.5センチ)

 濃青灰色の泥層中に含まれていたため、夜桜を見ている気分になった。やさしくなでていたら、地層から分離したので、標本として持ち帰った。水洗いすると、サクラガイの化石だった(写真2)。桜色が残っていて、大変美しい。

  • 写真2 サクラガイの化石(目盛りの単位はミリ)

 比較のため、館山市の海岸で拾ったサクラガイの貝殻を並べると、鮮やかな桜色だ(写真3)。もともと殻が白色の個体もいるが、現生のサクラガイの殻は、文字通り桜色のことが多い。

  • 写真3 館山市の海岸で拾ったサクラガイの貝殻(目盛りの単位はミリ)

 化石の場合は色彩が抜けてしまうことが多いので、桜色が残っているサクラガイ化石を見つけると、ありがたみを感じる。

  • サクラガイ Nitidotellina hokkaidoensis(ニッコウガイ科)

(千葉友樹)