2024/07/02(火)
麻賀多神社①
麻賀多神社(成田市台方)は、千葉県に鎮座する式内社の一つ。式内社とは、古代官僚の業務マニュアル『延喜式』(延長5年〈925〉撰進)のうち、巻9・10のいわゆる「神名帳」に記載される神社である。麻賀多神社は下総国印播郡の項にその名がみえる。
いっぽう、同社が千葉県の郷土環境保全地域に含まれていることはあまり知られていないかもしれない。同地域は「歴史的・郷土的に特色のある遺跡もしくは建築物その他の工作物、又は地域住民に親しまれてきた由来のある樹木や洞穴・滝などと一体となった自然環境を形成している土地の区域(1ha以上)」を指す(千葉県自然環境保全条例第15条第1項)。
実際、境内では自然林と人工林が良好な自然環境を形成している。とりわけ神木のスギ「大杉」は、樹齢1300年、胸高直径が約3.2m、高さ40m以上で、県内では鴨川市の清澄寺に立つ「千年杉」に次いで2番目の巨木である。ここでやはり想起されたのは、古代神話でアマテラスと並び国家神とされたタカミムスヒの別名が、「高木神」と記されていること(『古事記』上)。この点について、古くは神を迎える依り代として、高くそびえる樹木が立てられたためとの説もある。
古代の人々も、当社の大杉のような巨木に神が宿ると考えたのであろう。

- 写真1 境内入り口
- 写真2 本殿

- 写真3 神木の大杉
- スギ Cryptomeria japonica(ヒノキ科)
(小川宏和)