フィールドノート No.2267

 2025/3/12(水)

 白山神社と大友皇子伝説

 3月、君津市俵田の白山神社と白山神社古墳を訪れた。 当社は弘文天皇(大友皇子)と菊理姫を祭神としており、小櫃川中流域に分布する大友皇子伝説の中心スポットでもある。皇子は672年の壬申の乱で大海人皇子に敗れるが、伝説によれば、その後上総国の君津郡に逃れてきたというのである。


現在白山神社がある場所で、大伴皇子は御所を構えて暮らしていたが、大海人皇子の追討軍による急襲で死去したとされる。 神社の背後にある古墳は、周辺地域では弘文天皇陵とされることもあった(調査によって古墳は実際4世紀頃の築造で、馬来田国造の墳墓とする説が有力である)。


伝説が流布した背景には近代の陵墓治定運動があることが明らかにされているが、歴史ロマンを感じさせる物語である。

  • 写真1 白山神社 灯籠と随身門
  • 写真2 白山神社古墳

(斎木健一)