フィールドノート No.2424

 2026/1/22(木)

 シュロの根

 博物館の生態園でシュロの刈り取りを手伝った。九州に自生していた可能性も残る植物だが、千葉県では外来種といってよい存在である。鳥による種子散布で広がり、最近は生態園内でも多数の稚樹が育っている(写真1)。かつて関東地方で野生化したシュロがあまり見られなかったのは、冬の寒さが原因であると考えられている。シュロの幼樹の自生北限は最も寒い月の平均気温が5度以上であるとされているが、千葉市の1月の平均気温は1976-85年は4.5度だったものが、1985-95年では5.9度となり、2016-2025では6.6度にまで達している。シュロの幼樹が余裕で冬を越せる条件が整ってしまったようだ。シュロの刈り取りでは、上に出ている葉だけ切っても生長点が残ってしまうので、根元から掘り出すのが理想的だ。単子葉類であるシュロの根は、他の単子葉類と同様、主根がなく、ひげ根が四方に伸びている(写真2)。小さなシュロは簡単に引き抜けるが、写真のようにすこし大きくなった個体では、根掘りで茎の周囲の地面をぐるりと掘り、ひげ根を全て切ってしまうと楽に抜けた。

    写真1 林床でアオキと二分する勢力をほこるシュロの幼樹たち。
    写真2 主根はなく、丸い底から四方にひげ根が伸びている。
  • シュロ Trachycarpus fortunei (ヤシ科)

(斎木健一)