《室内草花(山田多嘉一の模写)》 明治45年(1912)
キャンバス・油彩 縦72.0 × 横100.0p 【県立千葉高等学校美術館蔵】
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 ≪室内草花≫は、明治45年春の千葉県庁舎新築落成を記念して開催された共進会(博覧会)に出品するために、堀江が知事の命により県立松戸園芸学校に通って描いたものですが、なぜか出品されませんでした。緻密に描かれた花が工部美術学校ゆずりのデッサンの厳しさを垣間見せています。光をたくさん取り入れ、明るく上品な色使いには、師であったサン・ジョバンニの影響が感じられます。

 大幸館時代の弟子の岡田三郎助は、堀江の存在が忘れられることを危惧し、作品を東京美術学校に残したいと希望しました。旧制千葉中学校で堀江の生徒だった和田清はそれを聞き東京美術学校教授の友人を通して、千葉県庁にあった本作品を芸大が譲り受ける形で実現しましたが、この時岡田はすでに他界していました。
なお、掲載の≪室内草花≫は、堀江正章の養子で、昭和5年から昭和20年まで旧制千葉中学校に在籍した山田多嘉一氏による模写である。

室内草花図

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