企画展のようす 〈行事のようす〉 その6
 トークショー 
「フタバスズキリュウの発見と化石少年の夢」



 7月28日に,「フタバスズキリュウの発見と化石少年の夢」と題して楽しいトークショーが行なわれました.
 
たくさんの,化石少年・少女が集まったそのトークショーようすをのぞいてみました.
  
出演者は,写真左から,司会の伊藤恵夫さん,学名フタバサウルス・スズキイの命名者,佐藤たまきさん,フタバスズキリュウの発見者,鈴木直さん,国立科学博物館の真鍋真さんで,いずれも,昔は「化石(恐竜)少年・少女」で,今はそれぞれ研究者として第一戦で活躍されている方々です.当博物館からは,加藤研究員(写真右)が参加しました.

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鈴木直さんは,40年近く前の,フタバスズキリュウの発見という貴重な体験と,発掘の様子などを,当時の写真や新聞などのスライドで紹介してくれました.


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こちらはフタバスズキリュウの頭骨の化石.

当時,高校生だった鈴木さんは,休みの日に,自宅から約30kmもある道のりを,寒風に逆らって自転車で通っていたそうです.



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こちらは,フタバスズキリリュウと同じ地層から出たアンモナイト.時代を決めるのに役立ったそうです.

このほか,小畠先生(国立科学博物館.当時)に手紙を書き,「一緒に研究しましょう」といううれしい返事をもらったり,ある論文に共著者として名前が載ったというエピソードも紹介してくれました.


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鈴木さんが現在勤めている,いわき市アンモナイトセンターです.

見学に行けば,鈴木さんに会えるかもしれませんね.体験発掘などの楽しいイベントもやっているそうです.



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こちらは,佐藤たまきさんが「恐竜少女」時代に見た恐竜展だそうです.

恐竜好きの人は,恐竜の姿勢が現在の解釈と違うことにすぐ気づいたことでしょう.


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こちらは「恐竜少女」時代に見た恐竜展の図録にあった白亜紀の「恐竜」の復元画のひとつ.

どこがおかしいかわかりますか?首長竜,海竜,翼竜とみな「竜」がつきますが,いずれも「恐竜」ではありません.会場の恐竜好きの子供たちには,朝飯前というか,常識のようです.



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佐藤さんは,海外の大学院で学ばれるなどの,「恐竜少女」後の自身の研究者としての経歴を紹介してくれました.

そして
化石の研究とはどういうものか,研究者になるにはどうすればいいか,など,研究者を夢見る化石少年・少女に,とても参考になるアドバイスをしてくれました.



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研究成果を市民に伝えるのも研究者の役目と語る佐藤さん.

カッコいい佐藤さんにあこがれて,研究者になりたいと思った少女がきっとこの会場にもいることでしょう.


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古脊椎動物がご専門の真鍋真さんです.

トカゲなどの現在の爬虫類と恐竜の歩き方の違いを,自ら身振り手振りで熱演・解説してくれました.


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真鍋さんが勤務されている国立科学博物館での恐竜の展示の様子です.


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皆さんご存知のトリケラトプス.

一般の方からの質問がきっかけとなり,展示標本の計測・解析からトリケラトプスの歩行姿勢の疑問点が解決されたという,身近な研究例を紹介していただきました.



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「学名のついている恐竜は何種類いるでしょうか?」

答えはイの1000種類.

みなさんが研究者になる将来にはウの10000種類になっているかもしれませんね.



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加藤研究員がこの道に入るきっかけとなった,岐阜県瑞浪市の化石洞くつ.

小学4年生のときに先生に連れて行ってもらい,キリガイダマシという巻貝の化石を手にして,「大昔の生き物が化石となって,いま自分の手の中にあることの不思議さに感動した」とのことでした.



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加藤研究員が化石少年時代に買った,フタバスズキリュウがデザインされた国立科学博物館の記念切手.ただし,保存状態は極めて悪いとのことでした(笑).

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たくさんの書き込みがされた愛読書をいくつか紹介しました.

こちらは原色化石図鑑.中央で線に囲まれているのは,月のおさがりの化石.
化石少年時代に読んだこの本にのっている,まさに同じ標本が今,企画展で展示されています.



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こちらは企画展の展示にあるカルカロドン・メガロドンの歯化石.

加藤研究員が発見した日本最大級の1本が赤丸で囲まれています.

ただ皆さんに自慢したかっただけだそうです(笑).


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このあと,少年時代に自分で発見した化石なども紹介し,化石採集の魅力や,誰にでも大発見のチャンスがあることなどを化石少年・少女たちに伝えました.

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司会の伊藤恵夫さんが,各ゲストのスライドの合間に絶妙のコメントや質問で,トークショーを盛り上げ,またスムーズに進行してくれました.


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会場の恐竜好きの子たちから,先生方にいくつかの質問が出ました.


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そして先生方が,丁寧に質問に答えてくれました.


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2時間の楽しいトークショーは,あっという間に終了しました.

化石好き,恐竜好きの少年・少女に,そしてその保護者の方にも,とても有意義なトークショーだったと思います.

出演者の先生方,そして聞きに来てくれた皆さん,忙しい中ご参加くださり有難うございました.

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トークショー終了後,佐藤たまきさんが,福島県で発掘されたクビナガリュウの化石が展示されている第2企画展示室で,特別に解説をしてくれました.

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