企画展案内 千葉県立中央博物館

平成14年4月27日(土)〜6月2日(日)
企画展示室・入場無料


写真1:ペリカンアンコウ
大西洋のポルトガル沖で採集.
 みなさんは,深海魚というとどんな魚をイメージするでしょうか?  今回の企画展では,当館が開館以来十数年にわたって収集してきた深海魚の実物標本およそ 200 点,さらに写真資料およそ 100 点を展示し,そのユニークな形態や生態を紹介します.世界的に見ても,このような企画の展示の例はほとんどなく,珍しい深海魚の実物が見られるまたとない機会です.最近,お菓子や飲料水のオマケについてくるフィギュアが流行していますが,そのモデルにもなったオニキンメやホウライエソなどの深海魚の実物標本も数多く展示します.

深海で「見る」
 真っ暗闇の深海で,つねに上を向いて暮らすテンガンムネエソのなかま (写真2)や,双眼鏡のような眼をもつボウエンギョ (写真3) はいったい何を見ているのでしょう.また,チョウチンハダカのように,眼がなくなったかわりに光を感じる器官が頭の上に発達したものもいます (写真4).
写真2:口も眼も上を向いたナガムネエソ

写真3:双眼鏡のような眼のボウエンギョ科の一種

写真4:眼が退化したチョウチンハダカ科の一種

深海で「光る」
 深海魚はホタルのように光を発するものが多く,その光をさまざまな目的で使っています.ハダカイワシのなかま (写真5) は,結婚相手を見つけるためにおでこの発光器を光らせます.また,チョウチンアンコウのなかま (写真1) は,エサを誘い寄せるためにチョウチンを光らせます.

→ 写真5:カンムリハダカ (左) とタマハダカ (右) を正面からみたところ

深海で「食べる」
 エサの少ない深海では,オニキンメ(写真6)やホウライエソ(写真7)のように長く鋭い歯が口に並び,捕らえたエサが逃げられないような仕組みをもつものがたくさんいます.また,オニボウズギス(写真8)のように自分の体より大きいエサを呑み込み,無理矢理それを胃袋の中に押し込むものもいます.


← 写真6:オニキンメ

写真7:長く鋭い歯をもつホウライエソ

写真8: お腹がふくらんだオニボウズギス

深海で「殖える」
 深海では,結婚相手を探すのも容易ではありません.光や匂いで結婚相手を探したり,さまざまな工夫が見られますが,その究極とでもいうべきものがチョウチンアンコウに見られる雄の寄生でしょう.雄は雌を見つけると雌の体にくっついて一生離れることはありません (写真9).
写真9:インドオニアンコウの雌と寄生した雄(矢印)
 もちろん,これ意外にもさまざまなトピックで深海魚の驚くべき形態や生態について紹介します.魚の専門家でも見たことがない数多くの深海魚を,この機会を利用して是非じっくりとご覧下さい.

その他の御案内
 会期中の土曜日,日曜日,ならびに祝日の13:00 から約 30 分間,学芸員による展示解説をおこないます.

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