今年はうさぎ年−卯年− | 千葉県立中央博物館 |
干支(えと)にちなむ貝 −卯年− |
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これまで,11年間,干支にちなんだ名前をもつ貝類を紹介してきました.今年は最後の年で,干支は卯(うさぎ)です.当館の二宮コレクションや品川コレクションなどの中から,うさぎに関係する名前の貝を紹介します.親しまれている動物だと考えられるのに,うさぎに関係した名前を持つ貝はほとんど見つけられませんでした.色彩以外に,うさぎの特徴をとらえることがむずかしいためだったのでしょうか. |
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1.ウミウサギ(海兎[貝]) | ![]() |
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白いうずくまっているうさぎをイメージして,名付けられたようです.生きている時は外套膜という体の一部で常に殻を覆うタカラガイに近い仲間で,外套膜は真っ黒.固い骨格を持たないウミキノコ類の上にすみ,これを食べています.紀伊半島以南の熱帯域に生息し,千葉県では内房地域からも記録されていますが,たまたまプランクトンの幼生がたどり着いただけで,定着はしていないものと考えられます. | ![]() |
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![]() ウミウサギ Ovula ovum フィリピン産 |
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2.コウサギ(小兎[貝]) Calpurnus verucosus フィリピン産 | ![]() |
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小さなウミウサギの意味で名付けられました.殻の上下端に,イボのあるのも特徴です.本種を含め今回展示した小形の3種は,それぞれウミウサギより小さいことを示す名が付けられています. 別名:セムシウミウサギ,ボタンウミウサギ. |
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3.ヒナウサギ(雛兎[貝]) Prionovolva sphaera 台湾産 | ![]() |
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中くらいの種がヒナウサギです.丸くて,ほとんど特徴のないのが区別点です.紀伊半島など,日本からの記録はありますが,日本では極めて稀です.他のウミウサギ類とは異なって,サンゴ礁ではなく,少し泥っぽい所にすんでいるのではないかと想像しています. 別名:ヒナウミウサギ. |
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4.マメウサギ(豆兎[貝]) Calpurnus lacteus 鹿児島県産 | ![]() |
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最も小さな種がマメウサギです.細長くて,両端は突出せず,内側も白いのが特徴です. | ![]() |
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![]() コウサギ(左2つ),ヒナウサギ(右から2つ目),マメウサギ(右) |
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5.ウサギノアシカワボタン(兎の足川釦[貝]) | ![]() |
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殻の形がうさぎの足に似ているということで英語名(Rabbit's Foot Mussel)が付けられ,その直訳和名です.過去に貝ボタンを作る原料となった淡水産二枚貝(カワボタンガイ類)の仲間です.この仲間の多くの種は,現在絶滅の危機にあり,商業取引の規制に関するワシントン条約に登載されています. | ![]() |
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![]() ウサギノアシカワボタン Quadrula cylindrica 北アメリカ産 |
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6.アメフラシ(雨降らし) | ![]() |
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突っつくと紫色の汁を出すことで知られるアメフラシも貝の仲間です.背中の割れ目に薄い膜のような貝殻が見えます.この仲間の英語名を,sea hare(海のノウサギ)と言います.中国語でも,海兎と表記します.標本は,真空凍結乾燥という方法で作ったものです. | ![]() |
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![]() アメフラシ Aplysia kurodai 千葉県産 |
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7.タツナミガイ(立浪貝) | ![]() |
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アメフラシ類で,最も立派な殻を持ち,その殻が,浮世絵に表れる大波=「立浪」に似ているところから名付けられました.アメフラシは当館/海洋展示室の磯のジオラマに立派なものが,タツナミガイは同じく分類展示室に真空凍結乾燥の標本が,それぞれ展示してあります.併せて,ご覧ください. | ![]() |
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![]() タツナミガイ Dolabella auricularia 三重県産 |
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