千葉県立中央博物館 デジタルミュージアム          花の植物画集トップへ
  「カーチス植物学雑誌」とは

kanincut.gif
江戸時代から続いている英国の植物学の雑誌です。凄い文化ですねえ・・。


cartishon.jpg  <カーチス植物学雑誌>
最古の植物学雑誌
1787創刊以来、現在も続いていて、200年以上も続いているんです。
 当館のカーチス植物学雑誌は、1787年から1980年までの分が全て揃っています。
 その量は、このような装丁で182冊分あります。平成2年購入。
←本館に収蔵されているものの一部。

  毎号きれいな植物画で珍しい植物が紹介されていて、植物画の総数は約1万枚に達しています。 
 そのほんの一部しかご紹介できないのが残念。

 ---<詳しいメモ>---
honcut.gifカーチス植物学雑誌は、1787年にウィリアム・カーチス氏によってロンドンで創刊されました。
 巻頭には「栽培植物について科学的な知識を得たいと願う紳士淑女とガーデナーのために」創刊すると記されています。
 創刊当初の読者はカーチス氏が所有していた植物園の協力者が中心だったと思われます。   
 創刊号(1787年)の中表紙   刊行の趣旨が書かれています。
syusi.jpg THE
BOTANICAL MAGAZINE;
OR,
Flower-Garden Displayed:
IN WHICH
The most Ornamental FOREIGN PLANTS, cultivated in
the Open Ground, the Green-House, and the Stove,
will be accurately represented in their natural Colours.
TO WHICH WILL BE ADDED,
Their Names, Class, Order, Generic and Specific Characters,
according to the celebrated LINNAEUS; their Places of
Growth, and Times of Flowering:

TOGETHER WITH
THE MOST APPROVED METHODS OF CULTURE
.
A    WORK
Intended for the Use of
Such LADIES, GENTLEMEN, and GADENERS, as wish to become
scientifically acquainted with the Plants they cultivate
.

LONDON:
Printed for W. CURTIS, at his BOTANIC-GARDEN,
Lambeth-Marsh; and Sold by all Booksellers, Stationers, and News-
Carriers, in Town and Country.
M DCC LXXX VII
.(←1787の意味)
 
honcut.gif誌名は初め「The Botanical Magazine(植物学雑誌)」でしたが、
カーチス氏の死後、「Curtis's Botanical Magazine(カーチス植物学雑誌)」と改められました。

 その後、現在に至るまで発行が続けられ、途中一時期(1984〜1994年)、 「The Kew(※) Magazine, incorporating Curtis's Botanical Magazine 」という誌名に変わりましたが、1995年から再び「Curtis's Botanical Magazine」の誌名に戻っています。 ( ※ Kew は、現在の発行者である英国王立キュー植物園のこと)

 植物画の技法は、銅版画→石版リトグラフ→亜鉛版リトグラフ→カラー印刷と変化しましたが、雑誌の形式は変わりません。

 1841年には当時の編集長W.J.フッカーがキュー植物園の園長となり、それ以来、この雑誌はキュー植物園と深く関わって維持されてきました。
 英国に世界中から集められた植物の多くはキュー植物園で栽培され、それがこのカーチス植物学雑誌で公表されました。

 植物の特徴や近縁種との区別点が、図と文章で植物学的に記されているのはもちろんですが、それだけではなく、導入の経緯や栽培上の詳細な情報、園芸植物として評価すべき点など細かくとりあげられているところが、この雑誌の特徴と言えるでしょう。
 honcut.gif カーチス植物学雑誌の歴史 年表
  
1787 「The Botanical Magazine」創刊
1801 カーチス没、誌名変更   「Curtis's Botanical Magazine」
1815 「New Series」はじまる
1827 「Volume 1 of the New Series」
1845 「Volume 1 of the Third Series」
     --- この頃、植物画が、銅版画から石版リトグラフへ ----
1905 「Volume 1 of the Forth Series」
     --- この頃、植物画が、リトグラフからカラー印刷へ ----
1949 「New Series」はじまる
1984 誌名変更   「The Kew Magazine, incorporating Curtis's Botanical Magazine」
1995〜誌名変更   「Curtis's Botanical Magazine」

Kew は、現在の発行者である英国王立キュー植物園のこと
花の植物画集トップへもどる   カーチス植物画一覧へ・・(カーチス植物学雑誌に登場した植物画から、特に、初期の稀少な図を中心に紹介しています。重くて時間のかかる拡大画像もつけました。お好みでどうぞ)
sen.gif