はじめに



(小川)

 今日この問題にお話いただくお二人は、農業にかかわって30年の熱田さん、そして、新しい逆転の発想とでもいいましょうか、千枚田に取り組んでいる石田さんです。それぞれの方が1時間ですが、とても聞き応えがあると思いますし、私もとても楽しみにしております。

 熱田さんからは"農薬・化学肥料にたよらず、30年の農業から見えてきたもの"について、13時20分から14時40分までお話していただきます。そこで10分間の休憩をとります。続いて、石田さんからは"里山の景観を守ることは里山の暮らしを守ること"のお話を14時50分から15時50分までしていただきます。
そのあとで、20分間の質疑応答の時間を持ちますが、なるべく要領よく聞いていただいて、お話を引き出すような質問をしていただきたいと思っています。
それから、あまり時間がないのですけれど、"アッ、ハチがいる!"の企画展もやっていますので、そちらも是非ごらん頂きたいと思っています。
1月27日に大網白里町で、ちばNPOフォーラムが開催されました。"食・農と環境を考える"分科会の中で、農業の抱える問題点、耕作放棄や兼業農家のことなどについて、熱田さんと石田さんからお話をいただきました。今回はその続きともいえます。安全な食品を提供し、しかも経営の成り立つ農業を模索しながら取り組んでいる現場から、お話をうかがえることを楽しみにしています。

はじめに、生態・環境研究部長の中村より、一言ご挨拶申しあげます。

(中村)

 食と農のテーマを博物館で扱うことは、すこし変だと思われるかも知れませんが、自慢していいことだと思っています。博物館は標本を並べるばかりでなく、自然史や文化史的なもの、生活とのかかわり、生きている現場を博物館の中身にしていくという姿勢も必要なわけです。ここの博物館のひとつの目玉は環境教育です。われわれも環境教育の立場で頑張っています。
熱田さんには2001年11月に,ちば谷津田フォーラムのシンポジウムにおいでいただきました。農業の未来、無農薬農法の土づくりの大変さに取り組み"菜っ葉の会"をやっておられる。無農薬だと、回りの農家と大変な問題が起こってきます。3年前にお話をお聞きしてから、その後どうなったか気にかけています。
 また、大山千枚田の石田さんの所は、文化行政の方でも指定されている文化的なものです。都会から人が来てくれるだけでなく、ここに住んでくれる人を是非探し出したいとのご意見でした。

(小川)

 ちばNPOフォーラムの"食・農と環境を考える"の分科会のコーディネーターをしていただいた加藤さんに、経過報告をしていただきます。パートTの仕掛け人が、環境パートナーシップの加藤さんでした。

(加藤)

 昨年の1月17日のフォーラムの6分科会の一つが、"食・農と環境を考える"でした。その会には、熱田さん石田さんと、それ以外にも3人の方がいらっしゃった。次回は是非、中央博物館でという小川さんの提案でこれが実現したわけです。
 私自身はホタルにかかわっています。ヘイケボタルがすんでいるのが水田、そこで10年間、米作り、炭焼きもしました。農家の方の苦労話もお聞きしました。農業の現場は高齢化だったり、元気がなかったりします。食物は安全なのか、どういうふうに米や野菜、食べ物が作られているのか、人ごととは思われません。これは子どもたちの問題であり、人類の未来、遺伝子にもつながっていることです。
 滋賀県では、食と農と環境を考える県民会議ができています。千葉県でも真剣に考えていかなければいけないだろうと思っています。

(小川)

 少し時間がありますので、堂本知事ではありませんが、この会に期待することを、インタビューしたいと思います。どうして今日、ここにいらっしゃったのか、こういうお話をききたいとか・・・。

A(男性)
    3日前に地域通貨に関するものを読んで、ここに熱田さんのことが書いてあり、この集まりのことを知りました。
B(女性)
    横浜から来ました。農は横浜ではあまりやられていません。多摩川のことで、川の水の浄化とか、農の話を聞いております。
C(男性)
    いつもは千葉都民で、仕事しているサラリーマンです。農というと自分の毎日の生活とは離れているという危機感もあります。一般の市民と農業のかかわり、その辺についても是非聞かせて頂きたいと思います。
D(女性)
    食料自給率を40パーセント以上に上げることは当分望めないと思っていましたが、レジュメを見て不思議な気がしています。そうした事情についても、ぜひお伺いしたいと思います。

(小川)
    それでは時間になりました。熱田さん、おねがいします。