ツキヨタケ

 Lampteromyces  japonicus
 ハラタケ目,
 キシメジ科,
 ツキヨタケ属


プロフィール
ツキヨタケは毒菌であること,発光菌であることで有名なきのこ.
しかしその発光は「脳に映る」と称した人がいたくらい弱く,目を凝らさないとなかなか見えない.
1986.10.25,京都府美山町芦生,
 ブナの倒木に鈴なりのもの
しかし目が慣れてきて,真っ暗闇のなかにこのツキヨタケがブナの枯幹にびっしりと生えている様子が浮かび上がる様は神秘的である.
 キノコを割ったときに柄の根元付け根に黒い染みが
あることが特徴。 高知県,工石山,1996.10.23
月夜蕈の名は,江戸末期に書かれた坂本浩然の菌譜の中にも登場し,昔からその発光性が知られ,またその名が用いられてきた.しかし浩然の菌譜のものは,毒があり,死ぬ場合もあることまで紹介してあるものの,挿し絵はシメジ類の似ても似つかぬ絵を掲載されている.
日本産のものが欧州の類似発光菌と異なることに気づき,新しい学名を与えたのは川村清一で1915年のことである.
見分け方
ヒラタケ,シイタケ,ムキタケ等との誤食が多いが,区別点はキノコを割ったときに付け根に黒い染みがあることで区別できる.特にブナの樹幹に群生するので千葉県には発生しない

発生時期と生態:1属1種の日本固有種と考えられてきたが,朝鮮半島・ソ連極東地方に分布することがのちに判明した.また,この属は他に1種,中国チベット南部の亜熱帯林に,発光性で,胞子が粗面の L. luminescens が1979年に報告されている.記載と和名は川村清一氏.
中毒のタイプB胃腸の刺激
毒成分:イルージンS
中毒例:食すると嘔吐し続け,手の先がしびれ,数日間七転八倒の苦しみを味わう.毒成分には,意外にも強い抵抗腫瘍活性があることが判明している.またツキヨタケの発光原因物質は,このきのこに多量に含まれるこのイルジンSが関与すると考えられてきたが,最近の研究によりランプテロフラビンであることが決定されている
1986.10.25,
京都府美山町芦生,
ブナの立木に鈴なり

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