No.13(動物ー3) 中央博資料百選  

  品川和久貝類コレクション  

 このコレクションは、日本を中心とし世界各地の種を含む陸産貝類(カタツムリ)が主なのですが、汽水・淡水産貝類も豊富に含まれています。特に、日本に生息する種の大部分は含まれており、品川氏が最も興味を持たれていたキセルガイ類(殻の形が昔のタバコを吸う道具、煙管に似ているところから名付けられています)は充実しています。また、世界各地の陸産貝類研究者と標本の交換を行われて、入手の困難な旧ソ連や南アフリカ等の種も、日本の他のコレクションには見られない程、多くの種が含まれています。その中には、特定外来生物に指定され、日本にほとんど標本のないクワッガガイ(小さなムール貝のような二枚貝)に極めて類似した種なども含まれていました。
 品川氏は、若手の陸産貝類の研究者として期待されていましたが、30歳代でなくなられました。当館の貝類担当は小学生の頃から、品川氏に陸産貝類の全ての手ほどきを受けてきました。そして、最近ご遺族の方から本コレクションを当館にご寄贈いただきました。博物館資料は、このような人間関係に基づいた様々な活動によっても充実させることができ、そして博物館は標本を後世に確実に伝えていける場所なのです。

多数のキセルガイ類の標本
多数のキセルガイ類の標本

クワッガガイ近似種Dreissema rostriformis(カスピ海産:CBM-ZM 137169)
クワッガガイ近似種Dreissema rostriformis(カスピ海産:CBM-ZM 137169)

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