教室博日記 No.2086

 2022/03/25(金)

 トビモンオオエダシャクの産卵

 旧三島小にて。校庭の二宮尊徳像の隣にカエデの古木がある。来館者のFさんがこのカエデにガがいると教えてくれたので、同じく来館者のIさん親子と見に行った。幹に近づいて見ると体の太いガがじっと止まっていた。するとIさんのお母さんがこのガが卵を産んでいるのに気が付いた。なるほど、樹皮に灰緑色の卵がびっしりと産み付けられていた(写真1)。

カエデの樹皮で産卵していたトビモンオオエダシャク
  • 写真1

 調べてみると、これはシャクガ科のトビモンオオエダシャクだった。なぜか左の前翅は失われ、右の翅も下にあるはずの後翅が上に出ていて、なんだか様子がおかしい。鳥に襲われたか、何かこのガの身に試練が降りかかったことがあるようだ。姿は痛々しかったが無事に産卵できて良かった。

 カエデはわずかに芽吹いたばかりで、まだ幼虫の餌となる葉は出ていない。卵が孵化する頃には葉がすっかり大きくなるのだろう。それにしてもこんなにたくさんの卵から孵化した幼虫に、葉を食べられる運命にあるカエデも気の毒だ。

 なお、このガの幼虫は頭に2つの大きな突起があって、正面から見るとウサギのようでとてもかわいらしい「尺取り虫」だ(教室博日記No.1710)。育った姿を見るのが今から楽しみだ。

  • トビモンオオエダシャク Biston robustus robustus(シャクガ科)

(斉藤明子)