15 法華経寺聖教殿


所在地 市川市
竣工年 S6
所有者 (宗)法華経寺
設計者 伊東忠太
施工者 清水組
構造 SRC
外壁 石造り
屋根形状・葺材 丸屋根,モザイクタイル貼り
建築規模 78.5m2

蓮の有力な後援者であったこの地の豪族富木胤継が邸宅を日蓮に寄捨し寺としたのが創始で,日蓮宗の大本山である。山内には祖師堂・五重塔をはじめとする多くの建造物,「立正安国論」・「観心本尊抄」に代表される日蓮の真筆遺文など多くの宝物が所蔵されている。

この建物は法華経寺に伝来した日蓮の御書・遺品等の寺宝を収蔵した宝蔵で,大正12年の関東大震災の反省を踏まえ,耐震耐火を考慮した鉄筋コンクリート造,様式をインドの仏塔形式としている。設計は当時の宗教建築の大家であった伊東忠太博士,構造を耐震耐火建築の第一人者の内田祥三博士が担当し,大正15年11月起工,昭和4年竣工した。

塔身の外法寸法は直径10m,周囲の地盤から塔身上端の蛇腹まで10.8m,水煙を含めた総高さが22.8mである。基礎・壁体・丸屋根・相輪に至るまで鉄骨鉄筋コンクリート造,仕上げは軒蛇腹下方を花崗岩で外装し,内部は抗火石下地を施してチーク材で造作している。また,電気・電話・瓦斯・給排水の設備のほか,避雷針も設置されているが,室内換気のための相輪に設けられた通風口や,湿気防止のために設置した地下室が注目される。塔身軒廻りの霊獣,正面階段手摺り前の獅子などの石造彫刻は仏教を象徴したものである。内部の奥手には正面に四天王の彫刻を施した4枚の板扉を建て込んだ妻入りの厨子を安置し,内部に宝物を納めている。[中村]


                      入口
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