21 戸定館

(旧徳川昭武家別邸) [県指定名勝]


所在地 松戸市
竣工年 M17
所有者 松戸市
設計者 不明
施工者 不明
構造 木1
外壁 下見板張り
屋根形状・葺材 寄棟造・瓦葺
建築規模 736m2

戸定館は水戸徳川家正流である徳川昭武が,維新後の生活の場とするため,松戸市の一画の江戸川と町並みを一望の下に見渡せる現在地に,明治16年から17年にかけ造営した別邸である。

徳川昭武は徳川斉昭を父とし,15代将軍徳川慶喜は長兄にあたり,幕府の崩壊から明治にかけての激動期を生きた人である。慶応3年(1867)に将軍の名代としてパリ万国博覧会に派遣され,藩主慶篤の死により明治元年に帰国した。

戸定館は,フランスの影響を受けつつも伝統的技法を取り入れた広大な庭園と,江戸時代以来の伝統的様式による和風建造物群で構成されているところに特徴がある。庭園は,芝生を中心とした平地と築山を配置した部分からなり,高台の景勝地という利点を借景の手法で最大限にいかしている。建物は,接客部分と主人の生活部分が区分された座敷と,台所や湯殿などの日常の生活棟が付属した平面構成となっており,江戸時代の大名の下屋敷の建築形式を,時代の変化に応じて簡略化したものといえる。客間は二間続きの座敷を連ね,奥の間に床と棚を備え,庭園に面して矩折れに縁を設ける。構成や意匠など簡素ながらも正規の書院造の格式を備えた遺例である。[中村]

客間前景
奥の間内部

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