43 木内家住宅及び店舗・石倉


所在地 多古町
竣工年 S4〜6
所有者 個人
設計者 清水建設(株)
施工者 高木作蔵
構造 石2
外壁 石積
屋根形状・葺材 寄棟造,瓦葺(住宅)
建築規模 269.1m2

多古は城下町として発展した町で,木内家は町中で県道が四方へ分岐する要地に位置している。建物は,道路に面した店舗と,その背後に接した倉庫を構えた町屋建築で,居住部分はさらに倉庫の後方に建ち,店舗左脇に開いた門から出入りするようになっている。木内家は戦前からの米穀商で,戦時中は陸軍出入りの商いをしたこともあるが,戦後しばらくして廃業するにいたった。    

店舗は,1階の正面に土庇を設け,雨戸で戸締まりした内部の右半分を畳敷の帳場とするほかは,一連の土間となっていて,ここに米俵を積み上げていたという。そのため,土間側面の壁だけは大谷石積みの堅固な構造としている。帳場裏の階段から上がった2階は,一方が床・棚・書院付き,他方が矩折れに廻らした縁のある2間続きの座敷としている。

倉庫は周囲の壁面を大谷石積み,和小屋の小屋組をあらわした,一部中2階の石蔵で,外部妻側と店舗側に設けた出入り口を防犯・防火用の鉄扉としている。

住宅は寄棟造の総2階建となっているが,計画段階では陸屋根であったといわれる。外部壁面は出入り口・窓枠等に茨城県笠間近辺で切り出される稲田石(花崗岩)を組み,その間を大谷石で積み上げる構造で,1階と2階の境と軒下に稲田石を横並べした蛇腹を加え,外観に変化を与えている。内部は1階が片側に通り土間をとった居間兼接客の用にあてられた大きな座敷,土蔵側に内玄関を開き階段を設ける。2階は窓側に片廊下をとり,2間続きの座敷を連ねる。窓の建具に外開きガラス障子を入れるなど,洋風の意匠も取り入れているが全体が伝統的手法になる。[事務局]

店舗
住宅と倉庫
住宅の窓枠

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