しだかんづめかぶしきがいしゃじむしょ

21 信田缶詰株式会社事務所


銚子市

産業関係・食品業・事務所

木造2階モルタル塗り,総床面積 180.246m2
1937(昭和12)年

先々代信田猪五郎氏によって1905(明治38)年銚子市今宮町に創立された。家内工業的に自家製缶され,製品は東京国分商店との間で一手取引きが開始される。1940(昭和15)年の企業合同令により,市内18の缶詰製造業が合同し,銚子合同缶詰株式会社が設立される。1947(昭和22)年,合同缶詰会社解散により,信田缶詰として製造を再開する。1955(昭和30)年個人経営から株式会社組織になり,現在の信田缶詰株式会社となる。

当時の生産品目は,鰹・秋刀魚・鯵・鯖の各トマト漬,水煮,味付と鮪水煮缶詰であった。1970(昭和45)年,食品製造業の多角経営化を図るため,惣菜の製造,特に即席カレーを中心に新製品の開発に努める。1985(昭和60)年隣接する明石缶詰株式会社を吸収し,第二工場として操業を開始する。調査の対象となった信田缶詰の事務所は,明石缶詰株式会社の時に使用されていた建物で,現に信田缶詰株式会社の事務所として使用されている。

建物は,1937(昭和12)年に明石缶詰の事務所として建築された2階,木造モルタル塗りである。1940(昭和15)年の企業合同令により銚子合同缶詰の第5事務所となる。太平洋戦争の際,銚子市内は焼失したが幸いこの付近は戦火をまぬがれ,創建当時の姿をそのまま残している。1985(昭和60)年以降信田缶詰株式会社の事務所として使用されている。外装のモルタルには所々修理の跡がみられるが,内部の調度品は,建築当時の備品そのままが現存し,現在も使用されている。書架・書類戸棚・社長室のデスク等貴重な備品である。

道路を挟んで向かい合っている元からの信田缶詰株式会社の事務所も1935(昭和10)年に建築され,モルタル塗り木造2階建も太平洋戦争の戦火にあわず内部の調度類もそのまま保存され,現在使用されている。商品開発の事務室となっている。

(広野平蔵)

地形図 「銚子」(略)

写真21-1 現在の信田缶詰株式会社本社事務所 (1997年) 写真21-2 事務所正門 (1997年)

参考文献

1) 信田缶詰株式会社々史
2) 日本缶詰協会:日本缶詰史,日本缶詰協会


Back
Home
Up
Next