貝達の中には、他の動物を食べる肉食のものもたくさんいます。その多くは巻貝の仲間(腹足類)ですが、ヒザラガイの仲間(多板類)のババガセや二枚貝類のスナメガイなども肉食です。
ヒザラガイの仲間はほとんどが藻食ですが、ババガセはその中では珍しく肉食です。さらに、ババガセの餌の取り方は貝類全体の中でもひときわ変わっています。 ババガセは潮間帯から潮下帯の岩の上で、体の前部を持ち上げてじっとしています。そして、岩と持ち上げた体の間に餌となる小動物が入ってくると、覆い被さって捕まえて食べてしまいます。 |
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待ち伏せをするババガセ |
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海岸に打ち上げられた貝殻を集めてみると、丸い小さな穴が開いていることがあります。これは肉食の貝に食べられてしまった貝の殻なのです。 ツメタガイなどのタマガイ科の貝は大きな足で殻を覆い、砂に潜って生活しています。この貝は、その大きな足で二枚貝を包み込むと、酸性の物質を出して貝殻を柔らかくし、歯舌で穴をあけて中身を食べてしまいます。 他にも、岩場に住むイボニシなどのアッキガイ科の貝も他の貝やフジツボに穴をあけて食べています。 |
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砂浜に打ち上げられた 穴の開いた貝殻 |
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ツメタガイ |
肉食の貝の中でも、イモガイの仲間はもっとも優れたハンターだといえるでしょう。イモガイの歯舌歯は銛のような形をしており、中に毒が詰められています。アンボイナガイなど強力な毒を持つイモガイに刺されると、人でも死亡することがあります。狩りをするときには、この毒歯を獲物に打ち込み、毒で麻痺した獲物を食べてしまいます。 イモガイの仲間は種類によって何を餌にするかが決まっていて、巻貝を食べるもの、ゴカイを食べるもの、魚を食べるものがいます。 |
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イモガイの歯舌歯 |
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長い吻(ふん)をそろそろと伸ばして、魚に近づいていきます。 |
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銛のような形の歯舌歯を突き刺し、毒を打ち込みます。 |
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毒で麻痺した魚を引き寄せます。 |
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吻鞘(ふんしょう)を大きく広げて丸飲みにします。 |
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獲物を捕らえるのではなく、他の動物の体内や体表に寄生してしまう貝もいます。 アカヒトデヤドリニナなどのハナゴウナ科の貝達は代表的な寄生貝で、主にヒトデやウニなどの棘皮動物に寄生しています。これらの貝は宿主の体液を吸って暮らしていて、多くは歯舌が退化してなくなっています。 |
アカヒトデの腕の中に寄生するアカヒトデヤドリニナ(写真は腕を切り開いたところ) |
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