はじめに
千葉県立房総のむらは日本で唯一の体験博物館として、年間約400種類の実演や体験、展示などを行っています。その活動には職員やボランティアが関わっているほか、伝統的な工芸の技術者(職人)が多く関わっていることが他の博物館と異なる大きな特徴です。房総のむらでは、職人による「実演」でその技を間近に見ることができ、また、「体験」では職人から直接指導してもらうことができます。
また、館の使命として、房総の伝統的なくらしや道具、ものづくりの技を保存・継承していくことを掲げており、「実演」や「体験」を通して、歴史や文化を学ぶ博物館を目指しています。
現在、伝統的な工芸の多くは後継者不足に悩んでおり、近い将来その大半は消え去っていく運命にあります。しかし、職人の多くは自分の宣伝をよしとしない部分があるため、職人と伝統的な工芸や技術の素晴らしさを多くの人々が知る機会をなかなか持つことができません。
そこで、こうした職人の存在に焦点を当て、その魅力的な存在が他に類を見ない当館の本物の「実演」や「体験」を形作っている「むらの底力」と銘打ち、紹介していきます。
-目次-
第一弾 商家の技を伝える職人➀
プロローグ
房総のむらの体験施設は、商家16棟、農家3棟の19棟から構成されています。商家の16棟は、それぞれ店舗名にふさわしい「実演」や「体験」が行われます。その演目の中心となる伝統的な技術を職人が支えています。例えば、鍛冶屋では、農具作り・鋏作り・包丁作りなどの「実演」が実施され、3人の職人がその技を直接披露しています。
房総のむらでは、「実演」や「体験」の指導を行う職人は約50人おります。そのうち第1弾では鍛冶・べっ甲細工・江戸木版画・左官・郷土玩具・郷土料理の9人の職人を紹介します。
1 鍛冶職人
(1)下総鋏
(2)佐倉鍛造刃物
(3)野鍛冶
2 べっ甲細工職人
べっ甲細工
3 江戸木版画職人
(1)浮世絵の彫り
(2)浮世絵の摺り
4 左官職人
土壁塗り
5 郷土玩具職人
芝原人形
6 郷土料理職人
もくずがに料理
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