房総(千葉県)の地衣類図鑑

Parmeliaceae ウメノキゴケ科葉状地衣(3):さらに形態から調べる

※検索によって除かれた,以下の属を除く:

Cetrelia トコブシゴケ属,Flavoparmelia キウメノキゴケ属,Menegazzia センシゴケ属,Parmelia カラクサゴケ属,Punctelia ハクテンゴケ属,Xanthoparmelia キクバゴケ属

1a.裂芽がある・・・2へ

1b.粉芽・パスチュール・シジディアのいずれかがある・・・8へ
1c.裂芽・粉芽・パスチュール・シジディアのいずれもない・・・21へ

2a.裂片縁部にあるシリアの根元は著しく膨れる・・・Bulbothrix

2b.シリアの根元は膨れないか,シリアはない・・・3へ
Bulbothrix フトネゴケ属/ Bulbothrix isidiza フトネゴケ(●)
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シリアの根元が膨れる  

3a.裂片の先端に顕著なシリアを生じる(裂片間の脇には生じないか,あっても顕著ではない).裂片は幅広く丸い・・・4へ(Parmotrema ウメノキゴケ属等)

3b.裂片間の脇にシリアを生じるか,そのすぐ近くに偽根を生じる(裂片の先端にはシリアを欠くか,あっても脇の方が顕著)・・・7へ
3c.裂片の縁部にはシリアはなく,裂片間の脇近くに偽根を生じることもない・・・Parmotrema tinctorum ウメノキゴケ
Parmotrema tinctorum ウメノキゴケ → ●種のページへ
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4a.裂芽は裂片の縁部に限られ,すぐに粉芽化する.・・・Parmotrema mellissii ニセマツゲゴケ

4b.裂芽は裂片の中央部から類縁部に生じる.粉芽化しない・・・5へ
Parmotrema mellissii ニセマツゲゴケ → ●種のページへ
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Canoparmelia aptata

シラチャウメノキゴケ

Canoparmelia texana

タナカウメノキゴケ

 

5a.地衣体腹面は褐色(暗褐色から黒色にはならない)で,短い偽根を多数生じ,その間に長い偽根を散生する・・・Canomaculina subtinctoria オオチヂレマツゲゴケ

5b.地衣体腹面の中央部はほぼ黒色,裂片先端付近は暗褐色から褐色.偽根は長さが2種類には分かれない・・・6へ
Canomaculina subtinctoria オオチヂレマツゲゴケ → ●種のページへ
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6a.髄層にリケキサントンを含み,UV+黄色.地衣体腹面は,新しい裂片の先端付近のごくわずかな部分が暗褐色であるのを除きほぼ黒色・・・Parmotrema ultralucens ウラグロマツゲゴケ

6b.髄層にリケキサントンを欠きUVー.地衣体腹面は,裂片の先端付近が暗褐色となるのを除き,ほぼ黒色・・・Parmotrema crinitum チヂレマツゲゴケ
Parmotrema crinitum チヂレマツゲゴケ → ●種のページへ
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7a.裂片の幅は広く2~5mm・・・Hypotrachyna koyaensis コウヤゴンゲンゴケ

7b.裂片の幅は狭く1~2mm・・・Parmelinopsis minarum トゲウメノキゴケ
Hypotrachyna koyaensis コウヤゴンゲンゴケ → ●種のページへ
(※近縁種が何種か知られるが,含有化学成分によって区別され,形態による区別は困難)
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Parmelinopsis minarum トゲウメノキゴケ → ●種のページへ
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8a.地衣体背面にパスチュールを作り,これが残存する・・・9へ

8b.パスチュールを欠くか,あってもすぐに粉芽化し消失する・・・12へ

9a.髄層にチョロギ細胞(数珠状に膨れた菌糸)を生じ,ガルビン酸を含みP+濃黄色・・・Myelochroa hayachinensis ハヤチネウメノキゴケ

9b.髄層にチョロギ細胞はなく,ガルビン酸を欠きP-・・・10へ
Myelochroa hayachinensis ハヤチネウメノキゴケ → ●種のページへ
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10a.地衣体背面はUV+黄色,上皮層にリケキサントンを含み,K-・・・Hypotrachyna osseoalba ゴンゲンゴケ

10b.地衣体背面はUV-,上皮層にリケキサントンを欠き,K+黄色(アトラノリンを含む)・・・11へ
Hypotrachyna osseoalba ゴンゲンゴケ → ●種のページへ
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11a.裂片は幅1~2mm,髄層はジロフォール酸を含みC+紅色・・・Parmelinopsis spumosa コナヒメウメノキゴケ

11b.裂片は幅2~4mm,髄層はジロフォール酸を欠きC-・・・Myelochroa leucotyliza
Parmelinopsis spumosa コナヒメウメノキゴケ → ●種のページへ
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Myelochroa leucotyliza ヒカゲウチキウメノキゴケ → ●種のページへ
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12a.シジディアを生じるか,皮層が割れて剥落しやすい.粉芽を欠く・・・13へ

12b.シジディアを欠き,粉芽を生じる・・・14へ

13a.地衣体背面は一様にマキラ(細かな目立たない白っぽい亀甲状の文様でもあり,割れ目ともなる)を生じ,裂片の先端付近などで皮層は亀甲状に割れてシジディア化する.髄層は白色.裂片の縁部に顕著なシリアを生じる・・・Rimelia hawaiiensis クズレマツゲゴケ

13b.地衣体背面にマキラはなく,皺を生じやすく,皺やそれ以外の部分が割れ,剥落しやすい.髄層に淡黄色の色素を含む.裂片の間の脇に目立たないシリアを生じる・・・Myelochroa entotheiochroa クズレウチキウメノキゴケ
Rimelia hawaiiensis クズレマツゲゴケ → ●種のページへ
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Myelochroa entotheiochroa クズレウチキウメノキゴケ → ●種のページへ
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14a.粉芽塊は点状(大きくならない)で地衣体背面に散生する.・・・Canoparmelia 灰色目のキゴケ属

14b.粉芽塊は裂片の先端近く,あるいは類縁部の背面に生じ,やがて拡大し,ヘルメット状に膨らむ・・・15へ
14c.粉芽塊は裂片の縁部に沿って生じるか,縁部からわずかに伸び出た小裂片の先端に生じる・・・17へ
Canoparmelia ハイイロウメノキゴケ属 → ●属のページへ
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15c.裂片は多少とも丸く(線形ではない),地衣体は拡大ししばしば直径5~10cm程度になる.髄層に淡黄色の色素を含み,プロトセトラール酸とガルビン酸を欠く(P-).髄層にチョロギ細胞(数珠状の菌糸)はない・・・Myelochroa aurulenta コナウチキウメノキゴケ

15b.裂片は線形で,地衣体は拡大せず,直径5cmを超えることはまれ.粉芽塊は裂片先端付近に生じ拡大し,その部分の裂片の幅が著しく広がる.髄層は黄色か白色(このときチョロギ細胞を欠く)か黄色(このときチョロギ細胞を生じる),ガルビン酸を含みP+濃黄色.髄層にチョロギ細胞(数珠状の菌糸)を生じる・・・16へ
Myelochroa aurulenta コナウチキウメノキゴケ → ●種のページへ
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16a.粉芽塊はしばしば黄色を帯びる(髄層に黄色色素を含む).髄層にチョロギ細胞を生じ,ガルビン酸を含むP+濃黄色.偽根は概ね単一.地衣体背面はしばしば褐色を帯びる・・・Myelochroa metarevoluta コフキチョロギウメノキゴケ

16b.粉芽塊は白色だが,粉芽の脱落後はしばしば黒ずむ.髄層にチョロギ細胞を欠き,ジロフォール酸を含みC+紅色.偽根はニ叉分枝する.地衣体背面は灰緑色から灰白色・・・Hypotrachyna revoluta ハコネゴンゲンゴケ
15c.粉芽塊は白色のまま.髄層にチョロギ細胞を欠き,プロトセトラール酸を含みP+橙赤色.偽根はニ叉分枝する.地衣体背面は灰白色・・・Hypotrachyna pseudosinuosa タカハシゴンゲンゴケ
Myelochroa metarevoluta コフキチョロギウメノキゴケ → ●種のページへ
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Hypotrachyna revoluta ハコネゴンゲンゴケ → ●種のページへ
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Hypotrachyna pseudosinuosa タカハシゴンゲンゴケ → ●種のページへ
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17a.粉芽塊は地衣体裂片の縁に沿って連続して生じ,その部分はフリル状となる.縁部にシリアを欠く・・・Parmotrema austrosinense ナミガタウメノキゴケ

17b.粉芽塊は地衣体裂片の縁お一部が伸長した先に丸くあるいはやや細長く生じ,まれに縁に沿って概ね連続するが,シリアを生じる・・・18へ
Parmotrema austrosinense ナミガタウメノキゴケ → ●種のページへ
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18a.地衣体背面は一様にマキラ(細かな目立たない白っぽい亀甲状の文様でもあり,割れ目ともなる)を生じる・・・19へ

18b.地衣体背面にマキラはない・・・20へ

19a.粉芽塊が付着する部位の裂片縁部は多少とも伸長し,腹面はしばしば淡褐色から類白色になる・・・Rimelia clavulifera マツゲゴケ

19b.粉芽塊が付着する部位の裂片縁部はほとんど伸長せず,その腹面は概ね黒色・・・Rimelia reticulata オオマツゲゴケ
Rimelia clavulifera マツゲゴケ → ●種のページへ
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Rimelia reticulata オオマツゲゴケ → ●種のページへ
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20a.粉芽塊は小さいときから穀粉状(粒が小さい)の粉芽を生じる.発達するとナミガタウメノキゴケのように裂片縁部に連続して生じているように見えるが,ところどころ途切れそこに短い(長さ約1mm)シリアを生じ,その部分の裂片の腹面側は幅広く白色から淡褐色に淡色化する・・・Parmotrema subpallescens ウスイロマツゲゴケ

20b.粉芽塊は小さい時には裂芽を生じすぐに顆粒状の粉芽を生じる.発達しても,粉芽塊を生じた裂片縁部がジグザグに折れ曲がる傾向が強く,ナミガタウメノキゴケのように連続して生じているように見えない.その部分の裂片の腹面側が幅広く淡色になることはない.シリアは長さ約2mmで,著しくねじれる・・・Parmotrema mellissii ニセマツゲゴケ
Parmotrema subpallescens ウスイロマツゲゴケ → ●種のページへ
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Parmotrema mellissii ニセマツゲゴケ → ●種のページへ
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21a.裂片間の湾入部(縁部)にシリアを生じる.偽根は概ね単一であり,規則正しく等長ニ叉分枝をすることはない.髄層に黄色色素を含む(まれにほとんど欠く)・・・22へ

21b.裂片間の湾入部(縁部)にシリアを欠く.偽根は規則正しい等長ニ叉分枝.髄層は白色・・・Hypotrachyna adducta ナメラゴンゲンゴケ
Hypotrachyna adducta ナメラゴンゲンゴケ → ●種のページへ
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22a.地衣体背面は皺があり,しばしば割れて剥落する・・・Myelochroa entotheiochroa クズレウチキウメノキゴケ

22b.地衣体背面に皺はなく,割れて剥落することはない・・・Myelochroa irrugans ウチキウメノキゴケ
Myelochroa entotheiochroa クズレウチキウメノキゴケ → ●種のページへ
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Myelochroa irrugans ウチキウメノキゴケ → ●種のページへ
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