房総(千葉県)の地衣類図鑑
C:ラン藻地衣

ラン藻(シアノバクテリア)を主な共生藻とする地衣類を,ラン藻地衣と呼びます.地衣体は黒っぽいものが多く,湿ると半ばゼラチン状になるものもあります.葉状になるものは,主にイワノリ科Collemataceaeに属します.

 

1.生育形で分ける:葉状・樹状・痂状

1a.地衣体は葉状・鱗片状(小さな葉状)・・・・・・・・・・・・・・2へ

1b.地衣体は概ね痂状・・・・・・・・・・・・・・(●)ページへ

2.地衣体は葉状・鱗片状(小さな葉状)

2a.白色の髄層があり,地衣体がゼラチン質で充満することはない(湿ってもゼラチン化はしないし,半ば透き通ることもない)・・・・・・・・・・・・・3へ

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Peltigera degenii ウスツメゴケ(濡れた状態) (乾いた状態)  

2a.白色の髄層はなく,地衣体はゼラチン質で充満する(湿ると多少ともゼラチン化し,半ば透き通るものまる)・・・・・・・・・・・・・4へ

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Leptogium kiyosumiense キヨスミカワキノリ    

3.白色の髄層があり,地衣体がゼラチン質で充満することはない(湿ってもゼラチン化はしないし,半ば透き通ることもない

Peltigera pruinosa コフキツメゴケ→種のページへ(●)
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    地衣体の中央部に多量の粉霜がある
Peltigera degenii ウスツメゴケ 種のページへ(●)
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千葉県ではごくまれ.濡れた状態 乾いた状態.粉霜はない  
Coccocarpia palmicola コナカワラゴケ 種のページへ(●)
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4.白色の髄層はなく,地衣体はゼラチン質で充満する(湿ると多少ともゼラチン化し,半ば透き通るものまる)

4a.明らかな葉状で裂片は広く(5mm程度か,それ以上),腹面全体にトメンタを生じる(類白色か暗色の毛を密生)・・・・・・・・・・・・・5へ

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4b.鱗片状か亜葉状,あるいは明らかに葉状の場合は腹面全体にトメンタを生じることはない・・・6へ

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Leptogium azureum アオキノリ Leptogium azureum アオキノリ:腹面にトメンタがない  
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Collema leptaleum イズカワホリゴケ Collema subflaccidum トゲカワホリゴケ Leptogium chibaense ノミノアオキノリ

5.明らかな葉状で裂片は広く(5mm程度か,それ以上),腹面全体にトメンタを生じる(類白色か暗色の毛を密生)

Leptogium kiyosumiense キヨスミカワキノリ 種のページへ(●)
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Leptogium kiyosumiense キヨスミカワキノリ    

6.鱗片状か亜葉状,あるいは明らかに葉状の場合は腹面全体にトメンタを生じることはない

6a.皮層があり(正確には切片を観察する必要がある),乾燥すると多少とも光沢があり,青みを帯びる種もある・・・・・・・・・・・・・7へ

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6b.皮層がなく,乾燥時に光沢はなく,決して青みを帯びない・・・・・・・・・・・・・8へ

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7.皮層があり(正確には切片を観察する必要がある),乾燥すると多少とも光沢があり,青みを帯びる種もある

Leptogium azureum アオキノリ 種のページへ(●)
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Leptogium cyanescens チヂレアオキノリ
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  顆粒状から円筒状の裂芽がある  
Leptogium bosoense ヒメアオキノリ 種のページへ(●)
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タイプ標本

生態写真(湿った状態)

 
Leptogium chibaense ノミノアオキノリ 種のページへ(●)
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Collema subflaccidum トゲカワホリゴケ Collema leptaleum イズカワホリゴケ Leptogium azureum アオキノリ

8.皮層がなく,乾燥時に光沢はなく,決して青みを帯びない

Collema subflaccidum トゲカワホリゴケ 種のページへ(●)
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Collema subflaccidum トゲカワホリゴケ Collema leptaleum イズカワホリゴケ Leptogium azureum アオキノリ
Collema leptaleum イズカワホリゴケ 種のページへ(●)
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樹幹上の複数の個体(湿時) 濡れると大きく膨れる 乾燥標本