調査研究事業:「房総(千葉県)の地衣類誌」の概要
 
第2の目標: 千葉県内における地衣類の分布の解明
 
2-2.房総の地衣類誌と「千葉県レッドデータブック」

調査研究事業「房総の地衣類誌」では,房総(千葉県)に生育する地衣類を(分布も含め)詳しく調べ,記録していきます.こうして蓄積した情報を評価することで,県レッドデータブックにおける掲載種の決定を意味のあるものにすることができます.

 

植物・菌類が初めてまとめられた1999年の「千葉県レッドデータブック」で(文献1)で,地衣類も取り上げられ,原田が委員として担当しました.県内の地衣類の分布に関する情報は限られていましたが,調査経験に基づき,掲載候補種を選定しました.2009年版(文献2)でも同様でした.

【文献1】 「千葉県の保護上重要な 野生生物 ―千葉県レッドデータブック― 植物編」,1999年,千葉県環境部自然保護課編・発行..

【文献2】「千葉県レッドデータブック ―植物・菌類編―」,2009年,千葉県環境生活部自然保護課編・発行.

一方,種子植物では,当館の(元)副館長,大場達之が中心になって,県内で分布調査を実施し,そのデータをもとに,種ごとに数値化して掲載種とそのカテゴリー(ランク)を決定していました.使用した分布データは数十万件に及びました.

 

地衣類においても,このような数値化を目指した,分布調査の必要性を感じました.しかし,同規模の調査を実施するには(つまり全県を網羅的に3次メッシュごとの調査を実施することは),時間的も予算的も全く足りないため,実現はきわめて困難です.従って,なるべく全域を網羅するように配慮しながら,種ごとの県内における分布状況を把握することができるよう,県内各地を順次調査することにしました.

 

 
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