海の生物にとって陸上は過酷な環境,逆に陸の生物にとって海中は過酷.その間に挟まれた海岸には,とても特殊な生物が住むことになります.
特に岩石海岸は,地衣類が卓越します.これらを海岸生地衣類と呼びます.優占する地衣類の色調によって,下の方から 黒色帯(こくしょくたい),橙色帯(とうしょくたい),灰色帯(かいしょくたい)が帯状に分布することは欧米では古くから知られていました.日本でも基本的には同じですが,これに加えて桃・褐色帯(とう・かっしょくたい)が認められています(文献)
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(文献) 原田浩/ 2016/ 日本産海岸生地衣類.垂直分布帯と種多様性(予報)/ Lichenology 14: 163-166. |
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波が荒い外海に面した岩場では,帯状構造は分かり難くなり,同じ種でもより高い場所に出てくることがあります.波静かな内湾のほうが帯状構造は明瞭です.また,干満の差が小さな日本海の沿岸では黒色帯と橙色帯の幅が狭くなります. |
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