海岸生地衣類
岩石海岸のむき出しになった岩の表面は,海水に水没する高さから,しぶきのかかるような高さ,さらにその上まで地衣類に覆われることがしばしばあります.海と陸との間の,しかも岩の表面という特殊な環境は,他の生物には過酷すぎますが,この地衣類たちには恰好のすみかなのです.こんな海岸生地衣類は,生態的に特異なことから,欧米では生物学の教科書に取り上げられるほど比較的よく知られていますが,残念ながら,日本ではほとんど知られていませんでした.
海岸
原田
原田
原田

ハマスミイボゴケ

Buellia yoshimurae

イソダイダイゴケ

Orientophila subscopularis

オオゴマダラゴケ

Hydropunctaria amphibia

 

海岸生地衣類の研究

日本の海岸生地衣類については,専門家による研究もあまり進んでいなくて,何種かが海岸生として報告があるものの,その全貌は全く分からない状況でした.そんな1990年頃,当館の原田浩が,海岸生のアナイボゴケ科の研究のため各地の海岸で調査を始めました.これによって原田は海岸生アナイボゴケ科だけでなく,それ以外の,様々な海岸生地衣類にも接する機会を得ました.

 

そこで,2018年(平成30年)から2年間,次のような研究をしました.

原田

海岸生地衣類の同定ツールの開発※

まず,日本の海岸生地衣類にはどんな種類があるのかを明らかにします.また,その地衣類を同定するための次の3つのツールを作ります.そのために,各分野の専門家が協力して,研究にあたりました.(右写真:左から坂田,原田,原)

原田

1.図鑑(分類)

・原田 浩 ・坂田 歩美(千葉県立中央博物館)
2.DNAバーコーディングのためのデータベース ・原 光二郎(秋田県立大学)
3.化学成分のデータベース

・木下 薫・谷川 寛典(明治薬科大学)

・吉川 裕子(千葉県立中央博物館共同研究員)

※この研究は,公益財団法人発酵研究所平成30年度(2018年度)一般研究助成「日本産海岸生地衣類の種多様性解明と同定ツールの開発」を受けて実施したものです.

このコンテンツ「海岸の地衣類」は

上の研究成果のうち,特に図鑑部分を中心にまとめたものです.

左の目次の項目をクリックすると,それぞれのページに移動します.
※形態(体の造り)の説明は,関連ページ「地衣類って何?」の中の「地衣類の体の造り」をご覧ください.
●本コンテンツ「海岸生地衣類」と,著作権について<詳しく>