3.海岸生地衣類の化学成分

 

●地衣類の化学成分(地衣成分).地衣類は,菌糸の表面などに,地衣成分と呼ばれる多量の化学成分を沈着しています.その種類が,地衣類の種によって異なることなどから,分類にも古くから利用されてきました.また,様々な生理活性についても注目されています.

●地衣成分の分析〔その1:TLC(ティーエルシー)〕.植物の葉のアルコール抽出物を濾紙にしみこませ,有機溶媒を入れたガラスタンク内に立てて葉緑素を分離する,ペーパークロマトグラフィーを理科の実験でやったことのある方もいるでしょう.濾紙の代わりにガラスやアルミの板にシリカゲルの粉の層を貼り付けた薄層プレートを利用するのが,薄層クロマトグラフィー(TLC)です.地衣類の分類や同定の現場では,1970年頃から標準化され今でもよく使われています.
●地衣成分の分析〔その2:LC/MS(エルシーマス)〕.より精密に行うため,分析方法は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などを使用し機械化されてきました.HPLCに質量分析計(MS)を組み合わせた分析方法が,LC/MSです.これによって分子量を特定できるため,地衣成分の同定がより正確となります.高取(木下)薫(明治薬科大学)が担当しました.

(1)化学成分のデータベース・・・(準備中)

この研究によって,どの地衣類(種,標本)から,どんな分析方法で,どの化学成分が検出されたかという情報をとりまとめ,データベースを作る予定です.DNAデータベースと同じように,外部サイトになる可能性もあります.