八ヶ岳では,最高峰の赤岳(標高2899m)をはじめとする2700mを超えるピークは「南やつ」と呼ばれる南部に集中しています(右の地図の下の矢印の下側).それに比べると北部は標高2000から2500mの比較的なだらかな地形が続き,北八ヶ岳(通称「北八(きたやつ)」)と呼ばれます.右の地図の二つの矢印の間の付近を指すことが多いようですが,その中央部には国道299号線が山脈を横切り,その最高点の麦草峠は標高2120mもあります.また更にその北側には北八ヶ岳ロープウェイがあって標高2200mを超える地点まで簡単に到達できます.このように北八ヶ岳は,交通のアクセスが良いため,関東地方から訪れやすい山々です.付近は針葉樹林が広がり亜高山帯の真っただ中ですが,稜線にはハイマツ低木林や露岩地,矮性低木群落が広がる高山の様相を呈しています.
北八ヶ岳の周辺(2つの矢印の間の付近) [この地図は,国土地理院の電子地形図(タイル)に矢印を追記するなどして掲載]
このような場所には,特有の地衣類が生育しています.つまり,亜高山帯針葉樹林の地衣類,それと“高山”の地衣類です.このような地衣類を観察するために,北八ヶ岳は,訪れやすいという点で,とても貴重な存在です.
このコンテンツでは,北八ヶ岳で撮影した,あるいは採集した標本の写真によって,亜高山帯から”高山”における地衣類を紹介します.
矮性低木群落内に生えるオニハナゴケCladonia uncialisの生態写真
当館の原田浩は,長野県レッドデータブックの改訂事業のため,2013年に北八ヶ岳の地衣類調査を行いました.これには坂田歩美(当時,共同研究員)も協力しました.
その時,現地で撮影した生態写真が本コンテンツに使用されています.調査の側ら限られた時間内に撮影する必要がありましたので,種数は限られます.また,採集品を持ち帰ってからさく葉標本にして,すぐにスキャナーにより取得した画像も主なデータとなっています.
本コンテンツを
担当した原田浩
協力した坂田歩美