「日本の地衣類(ウェブ図鑑)」
(1)日本の地衣類図鑑

 日本の地衣類を扱う唯一の図鑑は,1974年に出版された吉村 庸(よしむら いさお)による「原色日本地衣植物図鑑」(文献1)でした.カラー図版に掲載されたのは528種,記載だけがあるのは155種,合わせて683種が扱われました.当時としては画期的で,地衣類を勉強する誰もが活用したものでした.しかし発行から30年近く経った2000年頃には,内容を大きく修正あるいは追加すべき点が多数生じてきたため,改訂版を望む声が盛んにあがるようになってきました(文献2).

 本コンテンツは,これに代わる日本産地衣類の図鑑を目指して整備していきます.2023年10月4日時点で619種を掲載しています.

(文献1)吉村庸./ 1974/ 原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls./ 保育社,大阪市.

(文献2)原田 浩・岡本達哉・吉村 庸. / 2005/ 日本産地衣類および関連菌類のチェックリス ト. / Lichenology 4(1): 55-60. [Harada H., Okamoto T. & Yoshimura I.: On “A Checklist of Lichens and Lichen-allies of Japan” (Harada et al. 2004)]/

 

(2)本コンテンツの特徴

全国版とテーマ別: この図鑑は,2つの大きなテーマに沿って整備していきます.一つ目は,日本産地衣類を網羅する「全国版」の図鑑.もう一つは,地域や生育環境を絞ったテーマ別の図鑑です.後者はさらに,「地域版」,「植生帯(気候)」,「環境別」の3つに分かれています.

2「ウェブ図鑑:全国版」

●入口
3「ウェブ図鑑:テーマ別」 ●入口
3-1「ウェブ図鑑:地域版)」 ●入口
3-2「ウェブ図鑑:植生帯(気候)」 ●入口
3-3「ウェブ図鑑:環境別」 ●入口
  左のメニューからも入ることができます

既存の図鑑: 図鑑を実際に使う場合には,全国版では種数が多すぎて調べるのが難しいことがよくあります.そこで,ここではテーマ別の図鑑の整備を進めていきます.次いで,それらを統合するとともに,補足するデータを加えることで全国版を制作していきます.

 テーマ別の図鑑としては,本コンテンツの公開前にすでに,以下のコンテンツが公開されておりました.本コンテンツではこれらも活用していきます.

・「房総の地衣類誌」

●入口
・「日光の地衣類」 ●入口
・「海岸生地衣類」 ●入口
・「淡水生地衣類」 ●入口
 さらに,当館における調査研究事業の成果として,多数の新種が記載され,タイプ標本が当館には収蔵されていますが,その画像を以下のページで公開しています.その画像も,当図鑑では活用しております.

・「地衣類のタイプ標本」

●入口

種のページ: それぞれの図鑑(全国版,テーマ別とも)では,1種ごとの図鑑ページ(種のページ)を作っていきます.それらのページは,地衣類の写真で構成され,これに記載等のページを組み合わせていきます.

●Cladonia amaurocraea ホグロハナゴケ
  ●Verrucaria ditmarsica ゴマダラウシオイボゴケ
関連コンテンツ: 記載やキャプションの中には,正確を期すために専門用語を使用します.一部については,関連コンテンツである「地衣類って何?」の「地衣類の体の造り」と「地衣類の体の造り<詳しく>」で,図解しています.

・「地衣類って何?」

●入口
・同コンテンツ内「地衣類の体の造り」 ●入口
・同「地衣類の体の造り<詳しく>」 ●入口
・地衣成分(化学成分) ●入口

専門用語の解説,訳語: 地衣類分類において,植物学用語を伝統的に使用してきましたが,菌類であることから菌類学の用語も取り入れられるようになりました.さらには地衣類独特の用語もあることから,専門の用語集があると便利です.そんな日本語の用語集として,地衣類の専門家がまとめる初めての用語集となります.英語や日本語の専門用語について,簡単な解説と,訳語を示しました.

 このウェブ図鑑だけでなく,あらゆる地衣類の図鑑や論文を読むときにご利用ください.

・同「地衣学用語集」 ●入口
・同「地衣学用語集(日本語版)」 ●入口
(3)日本産地衣類の同定のためのツール

地衣類を同定するためのツールとして,このコンテンツに加え,DNA塩基配列(DNAバーコーディングのためのデータベース)(外部のコンテンツ)と地衣成分(化学成分)(別コンテンツとして準備中)の2つのデータベースを整備していきます.これらは,以下のメンバーを中心に進めていきます.

1.図鑑(分類)(本コンテンツ)

・原田 浩 ・坂田 歩美(千葉県立中央博物館)
2.DNAのデータベース ・原 光二郎(秋田県立大学) ・坂田 歩美

3.化学成分のデータベース

→(●)「地衣成分」

・木下 薫(明治薬科大学) ・原田 浩

 
●2022年6月公開(その後,複数回更新)
●本コンテンツ「日本の地衣類(ウェブ図鑑)」と,著作権について<詳しく>