#016 Lobaria linita (Ach.) Rabenh.

網目状の隆起があるカブトゴケ類の中では,緑藻を主な共生藻とすること,裂芽・粉芽を欠くことで,ナメラカブトゴケ(L. orientalis)に似る.ナメラカブトゴケは本種に比べ地衣体が厚手で,山地帯(冷温帯)に多く,主に樹幹・樹枝上に着生することで異なる.含有成分にも違いがある.

【外部形態等】地衣体は大きな葉状で,直径20cm,あるいは(集合し)直径50cmを超える大きなマットを形成する.地衣体は繰り返し不規則に分枝し,裂片は幅広く(2~3cmか,これを超えることも),先端付近は斜上する.背面は緑褐色で網目状に隆起し,わずかな光沢があり,粉芽・裂芽を欠く.腹面は類白色,網目状の窪みに淡色のトメンタを生じる.

子器は,裂片背面の類縁部から中央部に生じる.

【フォトビオント】緑藻+Nostoc(内部頭状体)

【化学成分】テヌイオリン(文献1)

【分布と生態】主に亜高山帯に分布し,樹幹基部や地上,岩上を広く覆う.地上・岩上では蘚苔類マット上に生じることが多い.北海道~四国.

ウスバカブトゴケ/薄葉兜苔

Lobaria linita (Ach.) Rabenh.

【異名等】
【文献1】吉村庸.1974.原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls.保育社,大阪市.
執筆:原田浩,2021