#019 Nephroma arcticum (L.) Torss.

【外部形態等】地衣体は大きな葉状で,直径20㎝程度は普通,集合し50㎝程度のマットを形成することもある.基物には緩く付着し,(直立性の蘚類のマットに生える時などは)しばしば先端が斜上する.裂片はわずかに分枝し,幅広い.背面は灰緑色で,湿ると鮮緑色,平滑で光沢はあまりなく,ところどころの中央部に直径1cmかそれより大きな淡褐色の頭状体(わずかに飛び出す)を生じる(湿ると目立つ).粉芽・裂芽を欠く.腹面は裂片先端付近は類白色で,中央部では多少とも暗色化し,平滑.子器は裂片の先端部の腹面側に生じ,子器盤はやや横に広く,赤褐色で平坦,他の腹面と同様の部分により狭く縁取られる.子器を生じた裂片は立ち上がり,しばしば裏返って子器盤をあらわにする.

【フォトビオント】緑藻+シアノバクテリア(内部頭状体)

【化学成分】ウスニン酸,ネフロアークチン,ゼオリン(文献1)

【分布と生態】亜高山帯の林内・林縁や,高山のハイマツの下など,地上に生える.北海道~本州中部(文献1).

ミヤマウラミゴケ/深山裏実苔

Nephroma arcticum (L.) Torss.

【異名等】
【文献1】吉村庸.1974.原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls.保育社,大阪市.
執筆:原田浩,2021