#038 Bryoria bicolor (Ehrh.) Brodo & D.Hawksw.

【外部形態等】地衣体は樹状,ほぼ直立,あるいは多少とも平臥し,高さ1~3cm,時に複数の個体が集合し小規模なマット(長辺3cm程度)を作る.主軸は等長ないし不等長二叉分枝し,ほぼ直角に出る側枝を多数つけ,この側枝にも二次的な側枝をつける.主軸とその基部付近の側枝はほぼ黒色,主軸の先端付近と側枝は緑褐色・褐色で明らかに光沢があり平滑,擬盃点は裂開型で白色,窪み,主軸ではほとんど目立たないが,暗化していない側枝では認められる.粉芽を欠く.中国雲南省では子器をよくつけるが,国内では確認していない. (文献2)

【フォトビオント】Trebouxia

【化学成分】フマールプロトセトラール酸と関連物質.(文献2)

【分布と生態】国内の亜高山帯に広く分布するものと思われるが,確実な記録は群馬・長野・山梨県のみ.亜高山帯の針葉樹林などの林縁部で,枝や樹幹上に他のハリガネキノリ属に混じって生えることが多い.高山の地上(岩上であったり,低木に着生することも)にも生育する.

オニノヒゲ/鬼の髭

Bryoria bicolor (Ehrh.) Brodo & D.Hawksw., Opera Bot. 42: 99 (1977); 文献2.

【異名等】≡ Alectoria bicolor Ehrh.; 吉村,原色日本地衣植物図鑑: 46 (1974).

【文献1】吉村庸.1974.原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls.保育社,大阪市.

【文献2】原田浩・王立松・吉村庸.2012.  日本地衣類誌(2)ハリガネキノリ属Bryoria(ウメノキゴケ科).Lichenology 10: 147–168.

執筆:原田浩,2021