#053 Cladonia gracilis (L.) Willd. subsp. turbinata (Ach.) Ahti

【外部形態等】ハナゴケ属,閉鎖褐実群の一員.基本葉体は鱗片状で,比較的大きく,切れ込むかわずかに分枝し,永存する.子柄はほぼ単一かわずかに分枝し,高さは3~5cmのことが多く,明瞭な盃を生じ,しばしば3~5段程度になる.盃の中央からは子柄は伸びず,縁部から分枝が伸びる.子柄表面は皮層が連続し,藻類層も概ね連続し,灰緑色か多少とも褐色を帯びる.粉芽・裂芽を欠く.

生長の初期の盃が1段しか生じていない状態ではヤグラゴケ類(C. krempelhuberi等)に似るが,後者は林外の開けた環境をより好む.

時に,本種によく似たコフキウグイスゴケC. cornuta subsp. groenlandica が混じることがある.後者は粉芽を生じるので区別できる.

【化学成分】 フマールプロトセトラール酸(文献1)

【分布と生態】主に亜高山帯内や林縁などの多少とも日が差す場所の,地上や朽木上に生育する.大きな倒木の広い面積を覆うこともしばしばである.亜高山帯の地上を代表するハナゴケ属で,山道を歩いていると,しばしば脇で見かける.北海道~四国(文献1)

ウグイスゴケ/鶯苔

Cladonia gracilis (L.) Willd. subsp. turbinata (Ach.) Ahti

【異名等】Cladonia gracilis (L.) Willd. var. dilatata (Hoffm.) Vain. [文献1, p. 145]
【文献1】吉村庸.1974.原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls.保育社,大阪市.
執筆:原田浩,2021.1