#061 Peltigera aphthosa (L.) Willd.

【外部形態等】地衣体は葉状.主要な共生藻は緑藻.背面に径 0.5–1.5 mmの疣状あるいは円盤状,淡紫褐色の頭状体を多数つける.地衣体は中~大形の葉状で径 6–15 cm,裂片は深く切れ込み,幅 1–3 cm,縁部が多少とも斜上し,顕著に波打つことはない.背面は乾燥すると帯緑褐色または暗赤褐色,湿潤時は鮮緑色,平滑,粉芽・裂芽・トメンタを欠く.腹面はほぼ全面が黒色で,裂片先端付近のみが類白色からやや淡褐色などの淡色のことが多く,黒と淡色のコントラストが明瞭.脈は表面が多少ともフェルト状で,明らかに平板状に突出し,網状を呈するが,地衣体中央部では不明瞭となり,また裂片先端部でも輪郭がしばしば不明瞭となる.子器はほぼ直立する裂片の先につき,その裂片の腹面は一様に皮層(藻類層もあり背面と同色)をつけるか,円盤状の皮層で覆われる.裂片は線形で幅広く,2~3cm,ほとんど分枝せず伸びるか,わずかに分枝し,斜上する.(文献1,一部改変)

【化学成分】テヌイオリン,フレビンA,フレビンB(文献1)

【分布と生態】高山周辺において林縁など多少とも明るい地点の地上に生育する.北海道・本州(文献1).

ヒロハツメゴケ/広葉爪苔

Peltigera aphthosa (L.) Willd., Fl. Berol. Prodr.: 347 (1787); Yoshimura, Lich. Fl. Japan in colour: 204-205, figs. 86a, 87d, 88c, pl. 38 (1974); Vitikainen, Acta Bot. Fenn. 152: 25-27, fig. 71 (1994).

【異名等】 Lichen aphthosus L., Sp. Pl.: 1148 (1753).
【文献1】吉村庸.1974.原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls.保育社,大阪市.
執筆:原田浩,2021