#062 Peltigera degenii Gyeln.

【外部形態等】地衣体は葉状,共生藻は藍藻.地衣体は中形~大形,直径~10cm,裂片は幅0.5–1 cm.背面は粉芽・裂芽を欠き,トメンタはなく(裂片のごく先端部にわずかに生ずることがある)平滑で光沢があり,乾燥時は灰色から褐色,湿時は暗いねずみ色(時に多少とも褐色がかる).縁部からしばしば小裂片を生ずる.腹面は淡褐色からほぼ白色で,脈はイヌツメゴケ型であり,ほぼ円柱状で輪郭が明瞭,網状となり,地衣体中央部ではしばしば暗化する.偽根は淡褐色からほぼ白色,時に暗褐色(時に脈が暗化する場合),ほぼ単一だが,若い偽根はやや密束型の傾向がある.偽根表面に細かな短毛を多少とも生ずることがあるが,脈にはほとんどない.(文献2,一部改変)

地衣体背面にトメンタを欠き平滑であること,腹面の脈がイヌツメゴケ型であることから,本種は日本産ツメゴケ属の中で容易に区別できる.

【化学成分】特別な地衣成分を含まない(文献2)

【分布と生態】地上や岩上に蘚苔類と混生して生える.北海道~九州.(文献2).

主に冷温帯から亜高山帯に生育する.暖温帯の山間部の渓谷沿いの湿った場所にも見られる.

ウスツメゴケ/薄爪苔

Peltigera degenii Gyeln., Magyar Bot. Lapok 25: 253 (1927); Yoshimura, Lich. Fl. Japan in colour: 208-209, fig. 89d, pl. 39 (1974); Vitikainen, Acta Bot. Fenn. 152: 35-37, fig. 79 (1994);文献2

【異名等】

【文献1】吉村庸.1974.原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls.保育社,大阪市.

【文献2】吉村庸・原田浩・Hur Jae-Seoun.  2009.  日本地衣類誌(1)ツメゴケ族Peltigera.  Lichenology 8: 31 –72.

執筆:原田浩,2021