#079 Peltigera malacea

【外部形態等】 地衣体は葉状,共生藻は藍藻.地衣体は径10cmほどに達し,裂片は丸味があるが,縁部が平坦ないし立ち上がり,時に下方に巻く.背面は褐色から緑渇色,湿時は暗緑色ないし青緑色.直立型のトメンタを生じ,特に裂片の先端部で顕著,粉霜を時につけるが,中央部では概してトメンタを欠き光沢がある.腹面の中央部は黒褐色,縁は褐色.脈はフェルト状で幅が広く,一見すると脈を欠くように見える.偽根はごく少なく,短く密束型で,黒色ないし暗褐色.子器は裂片の先に水平につく.(文献2,一部改変)

【化学成分】デプシド類(テヌイオリン,ジロフォール酸,ジロフォール酸メチルなど),トリテルペン類(ゼオリンなど)を含む.未同定物質(C+)がある.(文献2)

【分布と生態】亜高山帯~高山帯.広く分布するが,日本では稀種.地上,林床などに蘚苔類に混じって生育する. 北海道・本州.(文献2).

アツバツメゴケ/厚葉爪苔

Peltigera malacea (Ach.) Funck,  Crypt. Gewächse 33: 5 (1827); Yoshimura, Lich. Fl. Japan in colour: 206, fig. 88e, pl. 39 (1974); Vitikainen, Acta Bot. Fenn. 152: 57-61, fig. 100 (1994).

【異名等】≡ Peltidea malacea Ach., Syn. Lich.: 240 (1814).

【文献1】吉村庸.1974.原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls.保育社,大阪市.

【文献2】吉村庸・原田浩・Hur Jae-Seoun.  2009.  日本地衣類誌(1)ツメゴケ族Peltigera.  Lichenology 8: 31 –72.

執筆:原田浩,2021