#086 Bryoria trichodes (Michx.) Brodo & D.Hawksw. subsp. trichodes

【外部形態等】地衣体は樹状,最初は平臥するか半球形のマットになるが,やがて伸長し,懸垂し,長さ20cmを超すことがある.主枝は等長あるいは不等長二叉分枝を繰り返し,棘状の側枝を欠く.分枝は光沢があり,暗所では褐色かオリーブ色(緑色を帯びる),明所では暗褐色となる.ときに基部付近がほぼ黒色に暗化することがある.偽盃点は長く伸びた紡錘形で,周りより光沢が無いが,ほぼ同色で目立たない.粉芽・裂芽を欠く.(文献2,一部改変)

【化学成分】フマールプロトセトラール酸と関連物質.(文献2)

【分布と生態】分布: 日本・中国,北半球に広く分布する;四国(剣山・石鎚山)・本州・北海道.

生態: 冷温帯上部から亜高山帯を中心に分布する.亜高山帯の針葉樹林において,最も普通に見られる懸垂性の樹状地衣.針葉樹の幹・枝に多いが,広葉樹にも見られることがある.風衝地の岩上の周辺で,蘚苔類・潅木などに混じって生育することがある.ハリガネキノリ属の中で,国内では最も広く分布をする.(文献2,改変)

ハリガネキノリ/針金木海苔

Bryoria trichodes (Michx.) Brodo & D.Hawksw. subsp. trichodes, Opera Bot 42: 92 (1977); 文献2.

【異名等】= Alectoria americana auct. non Motyka; 吉村,原色日本地衣植物図鑑: 46 (1974). 

= Bryoria lanestris auct. non (Ach.) Brodo & D.Hawksw.; Matsumoto & Iwatsuki, Hikobia 12: 77 (1996); Harada et al., Lichenology 2: 57. 

= Alectoria jubata var. lanestris auct. non Ach.; 朝比奈, J. Jpn. Bot. 12: 687 (1936).

【文献1】吉村庸.1974.原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls.保育社,大阪市.

【文献2】原田浩・王立松・吉村庸.2012.  日本地衣類誌(2)ハリガネキノリ属Bryoria(ウメノキゴケ科).Lichenology 10: 147–168.

執筆:原田浩,2021