#091 Peltigera canina (L.) Willd.

【外部形態等】地衣体は葉状,共生藻は藍藻.地衣体は大形で径5–15(–20) cm.裂片の幅は 1–2 (–3) cm,長さ 10 cm.地衣体背面は密にトメンタをつけ,乾燥時は淡褐色から灰褐色で,平坦ないし多少とも樋状に窪むが,ごく縁部ではしばしば下方に巻く.腹面はごく淡い褐色で,ときに中央部では褐色になる.脈は顕著な円柱状ないし平板で,表面はフェルト状,輪郭は明瞭(地衣体中央部では多少とも不明瞭となる),網状となる.偽根は地衣体縁部近くではごく淡い褐色,中央部では多少とも暗褐色,長さ4mm 未満,繊維型でよく分枝する.子嚢胞子は(36–) 42–53 (–65) × 2.6–5.2 μm.(文献2,一部改変)

【化学成分】TLCでは検出されない.(文献2)

【分布と生態】

分布:北海道・本州.アジア・欧州・北米.北半球の極地に広く分布するが,温帯には少ない.

生態:亜高山帯の地上または朽木上に生ずる.(文献2,一部改変).

イヌツメゴケ/犬爪苔

Peltigera canina (L.) Willd.

【異名等】

【文献1】吉村庸.1974.原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls.保育社,大阪市.

【文献2】吉村庸・原田浩・Hur Jae-Seoun.  2009.  日本地衣類誌(1)ツメゴケ属Peltigera.  Lichenology 8: 31 –72.

執筆:原田浩,2021