#092 Peltigera didactyla (With.) J.R.Laundon | |||||
【外部形態等】地衣体は葉状,共生藻は藍藻.地衣体は小さく径 1 – 3 (–7) cm,ほぼ円形か浅く不規則に切れ込む.背面は乾燥時は灰褐色か灰色,湿時は暗いねずみ色,円形ないし類円形の粉芽塊を散生し,裂片先端付近にトメンタがある.無子器の状態では腹面の観察は困難なことが多い.子器(盤は赤褐色)を生ずる場合は,裂片が急激に伸張し,斜上したその先端に生ずる.伸張した部分には粉芽塊を生じない.腹面は淡褐色ないし類白色,脈は円柱状ないし半円柱状で,輪郭は明瞭で,淡褐色,やや平行に配列する傾向がある.偽根は単一型で,地衣体斜上部にはほとんどなく,基物に接する中央部(あるいは基部)に密生する.(文献2,一部改変) |
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【化学成分】糖以外の二次代謝産物は通常は検出されないが,微量の成分(ジロフォール酸・ジロフォール酸メチル等のデプシド類)が検出されることがある.(文献2,改変) 【分布と生態】分布:北海道・本州・四国; アジア・欧州・北米・南米・アフリカ・オーストラリア. 生態:山地帯から高山帯. 道路沿いの土手など裸地に生ずる. (文献2,改変) |
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フイリツメゴケ/斑入爪苔 Peltigera didactyla (With.) J.R.Laundon |
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【異名等】Peltigera spuria (Ach.) DC. in Lam. & DC., Fl. Franç., ed. 3, 2: 406 (1805); Yoshimura, Lich. Fl. Japan in colour: 210, fig. 89e, pl. 39 (1974). Peltigera erumpens (Taylor) Elenkin, Acta Horti Petrop. 24: 99 (1904). |
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【文献1】吉村庸.1974.原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls.保育社,大阪市. 【文献2】吉村庸・原田浩・Hur Jae-Seoun. 2009. 日本地衣類誌(1)ツメゴケ属Peltigera. Lichenology 8: 31 –72. |
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執筆:原田浩,2021 | |||||
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