#098 Peltigera pruinosa (Gyeln.) Inumaru | |||||
【外部形態等】地衣体は葉状,共生藻は藍藻.地衣体は普通径 5–10 cmで,多くの裂片に分かれ,掌状をなす.背面は中央部に顕著な粉霜の塊をつけ,その他の部分は平滑,(多少とも青みを帯びた)灰色~灰褐色,湿時は灰青色~暗青緑色.典型的な裂芽はないが,ときに葉縁が盛んに細裂し小裂片を生ずる.腹面には典型的なモミジツメゴケ型の脈があり,脈は平板状,地衣体中央部ではほぼ黒色,脈間は白~淡褐色.比較的短い偽根を生ずるが,基物の土にしっかりと食い込む傾向がある.背面の皮層は1–2層の異形菌糸組織である.子器をよくつけるが,季節的なものである.(文献2,一部改変) 本種の最大の特徴である粉霜は,シュウ酸カルシウムからなり,地衣体背面の中央部に生じる. 本属の多くの種で裂片先端付近に粉霜を生じることがあるが,これとは全く異なる. 地衣体腹面の脈や子器の形状が似るモミジツメゴケPeltigera polydactylonは,背面中央部に粉霜を欠き異なり,分布域も山地帯から亜高山帯とより寒冷地に多い. |
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【化学成分】テヌイオリン,ドリコリチン,および未同定物質を含む.(文献2) 【分布と生態】分布: 北海道~九州;主として暖温帯.日本・台湾. 日本産ツメゴケ属の中で,暖温帯を中心に分布するのは本種のみである. |
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コフキツメゴケ/粉吹爪苔 Peltigera pruinosa (Gyeln.) Inumaru, Acta Phytotax. Geobot. 12(1): 11 (1943); Yoshimura, Lich. Fl. Japan in colour: 208, fig. 86c, pl. 39 (1974). |
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【異名等】 ≡ Peltigera polydactyla var. pruinosa Gyeln., Magyar Bot. Lapok 25: 253 (1927). |
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【文献1】吉村庸.1974.原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls.保育社,大阪市. 【文献2】吉村庸・原田浩・Hur Jae-Seoun. 2009. 日本地衣類誌(1)ツメゴケ属Peltigera. Lichenology 8: 31 –72. |
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執筆:原田浩,2021 | |||||
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