【外部形態等】地衣体は円形からやや不規則に広がる葉状で，径5–12 cm．裂片は不規則に分枝し，幅 5–8 mm，縁部は丸みがあり，縁部は平臥するか，やや斜上し，概ね全縁で多少とも波打ち，やや深く切れ込み，シリアをまれにつける．シリアは単一で，長さ 0.1–0.3 mm．背面は乾燥時淡灰色から淡黄灰色，平滑で光沢があり，わずかにマキラをつけ，裂芽をつける．裂芽は円筒状からサンゴ状で，高さ 1 mm以下．髄層は白色．腹面は黒色で，地衣体周辺部は淡褐色，短い偽根を疎らにつけ，地衣体周辺部では裸出する．偽根は単一で，長さ 0.1 mm以下．（文献２）

小笠原諸島において，ウメノキゴケParmotrema tinctorum のように見えるのはほとんどが本種である．本種はやや黄色を帯びるとき（ウスニン酸を含む）は区別できるが，わかりにくい場合には，呈色反応のPテスト（ウメノキゴケはP－）で容易に区別できる．

【化学成分】地衣体K+ 黄色，髄層K−，C−，KC−，P+ 橙赤色．アトラノリン，ウスニン酸，プロトセトラール酸，フマールプロトセトラール酸．（文献２）

【分布と生態】小笠原諸島（父島・母島），沖縄．樹皮着生（19）・岩上生（2）．（文献２）