#121 Phaeophyscia imbricata (Vain.) Essl.

【外部形態等】地衣体は葉状(鱗片状),直径1 – 5 cm,多数が集合し大きなマットを形成する.裂片は類線形で幅0.5 – 3 (– 5) cm,羽状あるいは不規則に分枝し,はじめ互いに多少とも遊離するか概ね接し,後に接するかわずかに重なり合い,基物にやや圧着するか多少とも緩く付着する.背面は多少とも窪み,マキラを欠き平滑,灰緑色から灰褐色,粉霜を欠き,粉芽・裂芽を欠く.小裂片を裂片縁部より生じ,幅概ね0.15 – 0.2 mm,斜上し,わずかに分枝する.髄層は白色.腹面は黒色,ほぼ黒色の偽根(スカロース型,長さ1 – 3 mm)を密生する.子器はまれ,直径約2 mm,縁は全縁,基部に偽根を生じる.子器盤は赤褐色,粉霜を欠く.子嚢胞子は18 – 23 × 8 – 10 μm.(文献1,一部改変)

本種は,小裂片をつけることと,偽根がスカロース型であることで,本属の中で特徴づけられる.小裂片をつけることで本種と共通するチヂレクロウラムカデゴケPhaeophyscia exornatula は偽根が単一であり,また暖温帯の海岸近くの岩上に生育することで異なる.

【化学成分】地衣体背面K−;髄層K−.(文献1)

【分布と生態】国内の分布:北海道,青森・岩手・宮城・秋田,茨城・栃木・群馬・埼玉・神奈川,新潟・富山・山梨・長野,広島,愛媛.(文献1)

生態:主として冷温帯の落葉広葉樹林で樹皮に着生する.(文献1)

カワラバムカデゴケ/瓦葉百足苔

Phaeophyscia imbricata (Vain.) Essl., Mycotaxon 7: 308 (1978); 文献1.

【異名等】≡Physcia imbricata Vain., Bot. Mag. Tokyo. 35: 60 (1921); Kashiwadani, Ginkgoana (3): 49-50, Pl. 5 (1) (1975).

【文献1】原田浩.2016.  日本地衣類誌(6).Phaeophyscia クロウラムカデゴケ属.Lichenology 15: 47–59.

執筆:原田浩,2021