#122 Phaeophyscia laciniata Essl.

【外部形態等】地衣体は葉状(鱗片状)で直径6cm以下.地衣体周辺部の裂片は幅 1 – 2 (– 3) mm,不規則に分布し円鋸歯状.背面は多少とも窪み(裂片先端と縁部が斜上),マキラを欠き平滑,灰白色から灰緑色,粉霜を欠き,粉芽・裂芽を欠く.地衣体中央部では裂片縁部に小裂片を生じ,これが幅0.2 – 0.5 (– 1) mm, 多少とも伸び,しばしば斜上する.髄層は橙色.腹面は裂片先端と周辺部で橙色,中央部で黒色,黒色で単一の偽根(長さ1 – 2 mmまで)を多少とも密生する.子器は日本産標本では未知.(文献1,一部改変)

髄層に橙色の色素を含むクロウラムカデゴケ属Phaeophyscia の中で,本種は小裂片をつけることで区別できる.

【化学成分】地衣体背面K−;髄層(橙色色素)K+紫色.(文献1)

【分布と生態】国内の分布:高知(文献2).
生態:高知県の産地では,暖温帯上部において,山中の道路わきの石垣上に生育していた.

(文献1)

チヂレアカハラムカデゴケ/縮赤腹百足苔

Phaeophyscia laciniata Essl.; Esslinger & Harada, Lichenology 9(1): 27-29 (2010); 文献1.

【異名等】ー

【文献1】原田浩.2016.  日本地衣類誌(6).Phaeophyscia クロウラムカデゴケ属.Lichenology 15: 47–59.

【文献2】Esslinger T.L. & Harada H. 2010. Phaeophyscia laciniata Essl. new to Japan. Lichenology 9: 27-29.

執筆:原田浩,2021