#126 Phaeophyscia rubropulchra (Degel.) Essl.

【外部形態等】地衣体は葉状(鱗片状),直径0.5 – 3 cm.裂片は線形で幅0.5 – 1.5 mm,二叉あるいは不規則に分枝し,はじめ互いに遊離するが,後に接しあるいは重なり,基物に多少とも圧着する.背面は多少とも突出し,マキラを欠き平滑,灰緑色かやや褐色を帯び,粉霜を欠く.粉芽塊は裂片の先端付近,側方周辺,ときに背面に生じ,最初小さく半球形に突出し,後に多様とも不定形に広がる.髄層には通常は橙色の色素を含む.腹面は黒色,黒色の偽根(1.5 mm以下)を多少とも密生する.子器はしばしば生じ,直径1 – 2 mm,縁部は円鋸歯状,基部にしばしば偽根を生じる.子器盤は赤褐色で粉霜を欠く.子嚢胞子は 20 – 25 × 8 – 10 µm.(文献1)

日陰に生育すると,ほとんど橙色色素を欠くことがあり,同定が困難となる.粉芽塊の形状と,黒色の偽根により区別するとよい.

【化学成分】 地衣体背面K−;髄層(橙色の色素)K+紫色.(文献1)

【分布と生態】国内の分布:北海道,山形・秋田・福島,茨城・栃木・群馬・千葉・東京・神奈川,石川・長野・静岡,兵庫・和歌山,島根・広島・山口,香川・愛媛・高知,佐賀・大分・長崎.
生態:主に暖温帯に分布し,岩上,コンクリート上,樹皮上に生育する.(文献1)

コナアカハラムカデゴケ/粉赤腹百足苔

Phaeophyscia rubropulchra (Degel.) Essl., Mycotaxon 7(2): 313 (1978); Kashiwadani, Mem. Ntl. Sci. Mus. Tokyo (17): 58 (1984c);文献1.

【異名等】=Physcia saxatilis Kashiw., Ginkgoana (3): 52 (1975).

【文献1】原田浩.2016.  日本地衣類誌(6).Phaeophyscia クロウラムカデゴケ属.Lichenology 15: 47–59.

執筆:原田浩,2021