#153 Anisomeridium japonicum H.Harada

淡水生種．淡水生被果地衣類の中では，地衣体が概ね灰白色であることと，地衣体が薄く，暗色の被子器壁がほぼ裸出することで特徴づけられる．

【外部形態】地衣体は痂状，岩上生，基物表面上に連続して広がり，比較的薄く，緑色を帯びた灰色から灰白色，光沢はなく，平滑，明瞭なプロタルスを欠く．子器は突出し，概ね半球形，直径0.15～0.2mm，基部の境界は比較的明瞭で，裸出するか薄い地衣体で孔口近くまで覆われるまで様々，ごく暗い褐色から黒色，いくらか光沢があり，頂部は丸い．粉子器は未見．

【内部形態】地衣体は厚さ20～40μm，顕著な皮層を欠き，同層，無色．外殻は果殻底部の高さまで，あるいはその2/3まで伸び，果殻に圧着し，上部では厚さ約25μm，ごく暗い紫褐色．果殻は側部と底部で厚さ10～15μm，無色．子嚢下層は厚さ5～10μm．子嚢層はおよそ高さ100μm，幅125μm；子嚢層内菌糸系は分枝癒合する側糸状体で，直径は約1μm．子嚢は棍棒状で，およそ40×10μm，頂部は肥厚し（I-，KI-），オキュラーチャンバーは概ね半球形．子嚢胞子は9～16×4～6μm，無色，2室，頂部は丸く，ペリスポアを欠く．（文献１を一部改変）

【化学成分】-

【分布と生態】千葉県から新種記載された．暖温帯の，丘陵地の林縁において，定期的に冠水する岩上で発見された．