#215 Graphis rikuzensis (Vain.) M.Nakan. | |||||
暖温帯に見られるモジゴケの仲間では,比較的冷涼な地方にまで分布する種で,山地帯で見られるモジゴケ属としては代表種となる.子器横断面において,ラビアの下方が淡色である点で他の種とは異なる.
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【外部形態】 地衣体は概ね灰緑色だが,しばしばやや褐色を帯びることがあり,連続し,平滑,ごくわずかな光沢がある.子器(リレラ)は,地衣体上からわずかに突出するのみで,ほぼ黒色,多少とも分枝する.ラビア(果殻)の表面は平滑.対となるラビアは互いに離れ,黒っぽく粉霜を欠く子器盤を裸出する.
【内部形態】(子器横切片)子器壁の上部がほぼ黒化し,下方に向かい暗褐色,中部から下部は淡褐色となる.子嚢層は油滴を欠く.子嚢胞子は平行多室,細胞はレンズ状で5~7室,18-25×6-7µm(文献1).
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【生態】林内から林縁の樹皮に着生. 【分布】暖温帯~冷温帯に広く分布する.北海道~九州(文献1)
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ミチノクモジゴケ/陸奥文字苔 Graphis rikuzensis (Vain.) M.Nakan. |
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【文献1】Nakanishi M. 1966/ Taxonomical studies on the family Graphidaceae of Japan/ J. Sci. Hiroshima Univ., ser. B, div. 2 (Bot.), 11 (1): 51-126, pls. I-V. |
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執筆,原田浩,2024 | |||||
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